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第八章 第五話
「そうではないか。安東が船で“北の兵”を連れて来さえいれば勝てたのだ。」
二藤次は、憤る。
大円は、弟を憐れむ。
虎御前には詳しい経緯は分からない。ただ……その苦しい心うち、悲壮な道への所以なのか。
二藤次は、なおも続ける。
「そらあ、わかっているさ。船を白髭公が燃やした。だから連れてこれねえ。そうであってもだ。唯一無二の盟友ならば、単身でも兜味山に参じるべきなのだ。」
虎御前は、心配する。
“ねえ……あなた。……いつもと違うわよ。”
二藤次は話すのを止めた。辺りは静まり返る。曽我兄弟も否応ない空気の重さに、下の方を見るだけ。……いおりの砂は、真ん中の火に煽られて、少しずつ外の方へ動く。
……火がバチバチと音を鳴らす。
大円は、二藤次へ顔を向ける。……口を開いた。
「そろそろ、語るべきでは。」




