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第六章 第五話
その夜、二藤次は密かに呼び出された。
立派な屋敷である。将軍の次に良いのではないだろうか。それも当然か、御血縁なのだから。
使いの者に案内され、しばらく待った。すると、江馬義時と名乗る御家人が現れた。江馬は御家人北条時政の次子であり、御台所北条政子を姉に持つ。
江馬は部屋に入るなり、深々と頭を垂れた。
「いやいや、勇ましい奥州武者を初めて見ます。感激でござる。」
いきなり両手をつかみ、額を当ててきた。
二藤次は当然のごとく、困惑する。江馬もそれに気づき、手を勢いよく離した。
「申し訳ない。あなたが工藤の従者で大河二藤次忠季殿ですな。」
「はい。」
「噂にかねがね聞いておりまする。工藤殿を裏で支えた立役者とか。」
二藤次はすぐさま手を振って否定した。
「所詮、裏切り者の弟でございますので……。」
「そんなことはない。私だって己の主君を殺されたとあれば、真っ先に立つところ。彼は正しい生き方をしている。」
ここで、江馬は耳元に口を当ててきた。
「御家人に取り立ててやる。」




