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第六章 第二話
「では、私に見殺しにせというか。無二の友を。」
「はい。これ以上、民を苦しめてなりませぬ。」
「……この裏切り者め。」
高季は真備を蹴飛ばした。真備は小柄ゆえ、少し体が浮いたかと思うと、そのまま背中から雪上に崩れた。黒い烏帽子も、横に落ちる。
だが、真備はやめなかった。倒れた体そのままに、目を高季に向けた。
「負けたと申せ、本気をだせば我らが勝てるかもしれません。いや勝てるでしょう。」
高季もわかっていた、そんなことは。そう思いたかった。真備は立ち上がり、「屋敷に戻ります。」と告げると、そのまま去った。雪の上には草履の跡がしっかりついている。
高季はあたりを見渡した。
館の周りは白いばかり。かつて戦いが起きていたなど信じられぬ情景だ。しかし、負けたのは本当だのだ。
雪が再び降る。高季はその場所でしゃがみこんだ。どう考えても抗いようのない事実。顔を前にもたれ、手を下につけた。
なぜ、留められなかったのか。奴はいまだ、どこかで彷徨っている。行く当てもなく。
いつしか、肩が重くなっていた。




