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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
不屈の心 文治五年(1189)冬入
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第四章 第三話

 夜通し走った。馬などない。とある竹林で朝を迎えた。ここまでくれば大丈夫と、腰を倒した。



 “どこまで、逃げるのか。”



 “逃げてどうなる。”



 冷たい日差しだった。あっさりと積もった雪に照らされ、笹が光っていた。


 兼任は泣くことがない。涙など、忘れた。ただただ、亡き秀衡ひでひら公に奉げるのみ。





 ……少し、寝入った。体が寒い。日の高さから、昼ぐらいだろうか。二人の家来は、まだ寝ている。

兼任は、改めて胡坐をかいた。だまって目をつむり、二人の起きるまで待った。

もはや、急ぐ必要はない。来るべき運命があるならば、それに身を任せる。それだけだ。



 二人が起きたのは、日が沈みかけたころ。兼任は、ゆっくりと立った。“いくぞ”とだけ言い、北へ向かった。





 ……幾日立っただろうか、陸奥湾が見えた。ここは野辺地のへじだろう。西の山脈を抜ければ外ヶ浜。そのさらに西は東日流。故郷だ。

この夜も食えそうな雑草を探して、おこした火にかざし、口にいれた。そうだ。海なのだから、貝でもあるだろう。このような状態でも腹は空くし、同じようなものを食べていては飽きる。


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