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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
不屈の心 文治五年(1189)冬入
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第四章 第一話

 ……どこの民家も、扉を閉ざす。これはどういうことか。味方が味方でなく、仲間が仲間でない。

気が付くと、初めての雪だった。糠部は凍えるほど寒い。兼任は路頭に迷った。


 誰かいないものか。そこへ、林の向こうから喜ばしい顔で駆け寄ってきた従者がいた。



「さっ、急ぎ佐藤殿の屋敷へ。」



 ここは糠部郡のとある土地。この佐藤という者は、もと信夫郡の出身で、源義経の従者と兄弟の関係であった。そして、同じ奥州藤原の家臣である。

屋敷には温かき庵。鍋が煮えており、数日ろくに食えなかった兼任らは急ぎ箸をとった。

 佐藤は語る。弱々しく。


「父の庄司元治は鎌倉の前に倒れ、私めはこうして北のはずれに逃げてきたのです。」


「聞き及んでいる。佐藤庄司元治といえば、陸奥一の勇者。私も、ああなりたいものだった。」



 兼任は、右肩に目をやる。


「兄の継信と忠信は、最後まで亡き義経公に尽くしました。……それに比べると、私など裏切り者同然。逃げましたゆえ。」



 兼任は佐藤の横に移り、彼の心臓に左拳をあてた。真顔で。



「大丈夫。“北の兵”さえ来れば、形勢は逆転する。その時、お前も立てばいい。」


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