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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
兼任の戦い 文治五年(1189)秋末
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第三章 第四話

 平泉は朗らかに晴れていた。建て直している屋敷の群れ、カンカンと槌の音が響いている。

残る五百騎は、心底疲れ果てたまま何も考えることなく、夢の地へ戻った。

彼らを見て、他の者はどう思っただろうか。未来は潰えたと感じ、その日のうちに平泉から逃げていった。中途半端な建物が悲しい。



 兼任は言った。


「衣川を挟んで、防衛線を張る。南東の観音山に陣を置き、地の利を生かす。少数が多数に勝つには、これしかない。」


 五百が五万以上の軍勢に勝てるだろうか。しかし、“夢”を手放したくない。

依然、体の傷は癒えぬ。だが、戦いは刻々と近づく。



 数日もしないうちに、南方から白い煙があがるのが見えた。観音山から真南、一関からであった。鎌倉軍が釜を焚いているのだ。その様はあたかも、狼煙のようでもあった。その煙の量は半端なく、大軍のありようをうかがわせた。


ここで、兼任は勝負をかける。



「相手は大軍。すでに我らが少数だと侮って、油断している。だからこそ、こうも平泉の真近で夕餉を喰っている。」

「静かに動け。旗を掲げるな。もう少しで日は沈む。今からいけば、一関には真夜中に着く。」



 夜襲だ。


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