第二章 第三話
激しい音だ。まるで頭にたたきつけるような。この先など考えさせる余地を与えさせぬように、猛々しい声で遮っている。
”ん?”
…………
目を開ける。小さな木の小屋の真ん中、布団にいるようだ。
頭はさえない。何があったかも思い出せない。いまだ現実ではないのか。ならば、再び閉じてみよう。閉じて、夢から戻れるようにしてみようか。……いや、どうやって。
…………
二藤次だ。あの裏切り者だ。
真備はあぐらをかく二藤次の背中に話しかけた。
「助けたのか?」
しばらく答えはなかった。庵の火だけが音をたてる。
二藤次は言った。
「助けたのではない。工藤殿から譲り受けたのだ。」
「……どうする気だ。」
「奥州の人間は、奥州の者が始末する。」
ならば、早く殺してしまえばいいではないか。もったいぶらずに。何を考えている。真備は二藤次に投げかけた。
「いいかげん、顔を見せろよ。こちらに向けろ。」
すると、二藤次は立った。そしてそのまま戸口へと向かった。
「これから私は、出かけねばならぬ。鎌倉軍の出発だ。そうなれば、このあたりは“がら空き”だ。」
そういうと、最後まで表情を見せなかった。雨の中、傘をささずに走っていった。
……ならお前は、なんの為に裏切ったのか。この期に及んでの変節か、それとも無駄なる情かけか。
何を考えている。




