第四話 「作者」考察・王華
ん、やっと我ら作者組に触れる記述があったな。これは本来のぐだぐだなストーリー展開からスピーディーなストーリー展開になりそうか?
楓「作者考察、か。案外普通の流れだけどね。でも意図的に情報伏せてるね。『作者』の情報の元の考察がないし、どのような力かの考察もない」
は、そこまで考察して作者に勘づかれる可能性を消したと言ってほしいな。ま、確かに意図的に伏せたけど。
楓「じゃ、下書きと違ってオリジナル本人の可能性は?」
そりゃ未来永劫にないな。俺自身のキャラを創っても次の瞬間には俺の性格は変わってるんでな。多面性の内の一面、それぐらいしか描けないさ。
楓「随分と面倒くさい。ま、それでわたしがいるから感謝、なのかな?」
自分語りは後でいくらでもできるさ。嫌って程に
さて、君は「作者」という人物をどんな者と考察する?
いつもの日課が終わった紅我と王華は家に戻ってきた。
「あ、おはよう王華、と紅我。今回はどうだった?」
「ん、二人ともおはよう」
そう声をかけたのは、少女二人だった。
一人は透き通る蒼い目を目いっぱいに輝かせた、小柄な少女。
もう一人は雪のように白く儚く映える髪がもったいないぐらいに気だるげな幼子だ。
「シロハに美伊奈、起きてたんだ」
王華はその二人に言葉をかえす。
それに聞かれてない作者が返答した。
「僕が起こしておいたんだ。これから長丁場になるからね」
「長丁場?何が始まるんだ?」
「何がって聞かれても……。大雑把に言うなら、『世界の停滞』かな。って言っても解らないだろうし、詳しく話してくよ。あ、王華ご飯よろしく」
それを聞いて王華は首をかしげた。この世界の停滞はイコールで平穏だ。あの流れだとそれを壊す、ということになると思うが戦闘能力が無い作者ではかえって命を脅かす結果になる。
作者は徹底的に力を隠しているが、それでも私は私たちの隣にいる自称作者をそう勘違いする力を操るだけだと考察している。
でなければ、この世界は主人公やら、悪役やらがいる世界だろう。だったら、禁忌に触れた魔法使いなど、当に殺されている。
そう、禁忌に触れた私など、この世界の創造主に負けた時点で殺されるはずなのだ。
──だから、この世界に、そんな超越者はいない。
「はいはい、ご飯作って来るわ。勝手に始めないでよ」
そう軽く「作者」に返してキッチンへと──いや食料があるか倉庫に行かないと。数多くの世界があって、正確に渡る術がある作者がいて助かるわ。
そんなことを考えながら、王華は倉庫に向かうのだった。