ブタ7
「ねぇ、これって家としてどうなの〜?」
赤美ちゃんとシンディは、木の上の家を見たまま、言葉が出ません。
数分後、やっと意識が戻ったシンディは言いました。
「お前達の兄は馬鹿なのか?それとも天然か?」
「う、うるさいな!ブタ一兄さんは頭がいいんだ!」
「確か、馬鹿と天才は紙一重とか言うよね。」
赤美ちゃんもなんとか言葉を発しました。
ブタ二とブタ三はもう何も言えませんでした。
「で、今度はどう捕まえる?」
「そうだな。木の上に建っていて、しかも、今にも落ちそうだし・・・」
「結構厄介ね〜。」
3人がうーうー唸っている横では、ブタ二とブタ三が会議中です。
「どうするの?ブタ一兄さんはまだボク達が来たことに気づいてないよね?」
「あぁ、如何にかして、僕達が来たことを知らせて警戒してもらわないと・・・」
2匹がブーブー唸っていると、後ろの方から≪ガサガサ≫という音が聞こえました。
2匹は、不思議に思い後ろを振り返ると、そこには、木々の間から出てきているブタ一がいたのです。
「「ブタ一兄さん?!!」」
「おや?ブタ二にブタ三じゃないか。どうした?遊びに来たのか?」
「何言ってんの?!アイツらが来たんだよ!」
「ってか、この状態で遊びに来るって、どんなだよ!」
そう、2匹はまだロープで縛られているままなのです。
「あははは。まぁ、いいじゃないか。で、どうしたの?」
ブタ一は特に気にした風もなく言いました。
ブタ二とブタ三は脱力しながらも、なんとかこれまでの経緯を話し出しました。
「そ、それは大変じゃないか?!早く家に入らないと!ロープを解くからおいで!」
ブタ一が急いでロープを掴もうとしたとき・・・
「解かれると困るんだけどなぁー。」
と、赤美ちゃんがロープの端をしっかり持って黒い笑みを浮かべて言いました。
その横には、同じような表情をしたシンディと白雪もいました。
「丁度良かった。家には行けないから、どうしようかと悩んでいたところなのよ。」
ブタ一は、始めは怯えていましたが、赤美ちゃんの言葉でピーン!とひらめいたようです。
(そうだ!家まで行けば・・・!)
ブタ二とブタ三も同じことを思ったのか、顔を見合わせて肯き合いました。
そして、3匹は空を見上げて、
「「「あっ!!あれ何だ?!!」
と叫びました。
赤美ちゃんとシンディと白雪の3人は、揃って空を見上げましたが、何もありません。
そこで、≪ハッ!≫として視線を戻すと、そこに仔豚の3匹の姿はなく、周りを見渡すと3匹が木の上の家に向かっているのが見えました。
「こら!待て〜!晩ご飯!!」
赤美ちゃん達は、急いで仔豚たちを追いかけようとしました。
そのときです。
≪ドガゴォォォ〜〜〜〜〜ン!!!≫
と、とんでもない音がしました。
なんと、木の上にあった家が落ちてしまったのです。
家は無残にも、バラバラになっていました。
その傍らには、固まってしまった3匹の仔豚。
その後ろには、ロープを持った女の子3人。
そして、森中に響く悲鳴。
この後、仔豚の3兄弟を森で見ることはありませんでした。
しかし、ある夜に、にぎやかで楽しげな声の中に、
「「「ブヒブヒブゥゥ〜〜〜」」」
という鳴き声が聞こえたとか、聞こえなかったとか・・・・・。
終わりました!『赤美ちゃん・番外編―ブタの兄弟―』!『赤美ちゃん』より長くなってしまいましたが如何だったでしょうか?
一応『赤美ちゃんシリーズ』は、これで終わりなのですが、また機会だあったら書こうと思います(^^)
次回作は、普通に現代ものにする予定です!よかったらそちらの方もどうぞよろしくお願いします☆