ブタ6
ブタ二は椅子に座って、お茶を飲みながら兄弟達のことを考えていました。
「ブタ一兄さんとブタ三は大丈夫だろうか?」
すると、≪コンコン≫とドアを叩く音が聞こえました。
「だ、誰だ?!」
ブタ二はこわばった顔で、ドアの向こう側にむけて言いました。
「ボ、ボクだよ、ブタ二兄さん。アイツに家を壊されて逃げてきたんだ!ここを開けて!」
「なに?!待ってろ!すぐ開けてやるから。」
ブタ二は急いでドアの鍵を開けました。
「大丈夫か?!」
そして、そのままドアを開けると、何か大きな物体がもの凄いスピードで家の中に入ってきました。
ブタ二は、その正体を見て呆然としました。
「本当にあっさり入れたなぁ。」
「だから簡単って言ったでしょう〜。」
「さすが白雪ね。」
「ご、ごめん、ブタ二兄さん。」
そこには、宿敵ともいえる人間3人組と捕らわれの身となっている弟がいたのです。
「お前ら、ブタ三を使ってっ・・・!」
ブタ二は手を震わせながら言いました。
「なによぉ。すぐに食べないで、使ってやったんだから感謝しなさいよ!」
赤美ちゃんはプンプン怒りながら、手を腰に当てて言いました。
「まぁまぁ、こうして家に入ることができたんだし。」
「そうね〜。そんなことより、今目の前にいる獲物をどうするかよね〜。」
そう言うと、3人はジリジリとブタ二に近づいて行きました。
ブタ二は恐怖で、目を離すことも動くこともできませんでした。
この後、森ではこの世のものとは思えないほどの叫び声が響いたそうです。
「さぁて。これで2匹ゲットね♪確か、あと1匹いたわよね?一番上のヤツ。」
赤美ちゃんが手をパンパンさせながら、ブタ二に尋ねました。
「少しでも生き延びたいなら、さっさと案内する方がいいよ〜。」
白雪はニコニコとブタ二とブタ三の顔を覗き込みました。
「逃げようなんて思わないことだよ。」
シンディはしっかりロープを持って言いました。
「わ、わかってるよ!こっちだ。こっちにブタ一兄さんの家がある。」
ブタ二は、赤美ちゃん達を誘導し始めました。
「ブタ二兄さん。こいつら連れて行っていいの?ブタ一兄さんも捕まっちゃうかもしれないよ。」
「仕方ないだろう?結局、こいつ等だけでもいつかはここに辿り着くだろう。だったら、僕たちの力でブタ一兄さんだけでも助かるように頑張ろう。」
「ブタ二兄さん・・・・」
ブタ三は尊敬の眼差しでブタ二を見つめました。
さぁ、とうとう仔豚の3兄弟と人間の3人娘の最終決戦の始まりです。