ブタ4
赤美ちゃんが、奥へ奥へ進んで行くと、藁で作った小さな家らしき物が建っていました。
「なに?この家。ってか、家なの?これ。藁が山づみになってるだけみたいな・・・。」
赤美ちゃんは眉をひそめながら、藁の家をジロジロ見ました。
すると、中からブタ三の声が聞こえてきました。
「お、お前なんかに食べられないぞ!ボクは、この中にいれば安全なんだ!お前なんかさっさと帰れ!」
赤美ちゃんは、その言葉を聞いた瞬間、ドス黒いオーラを出しましたが、次の瞬間にはにっこりと花のような笑顔を向け、
「そっか、そっか。」
と、行ってどこかに行ってしまいました。
ブタ三は、足音が遠ざかっていくのを聞いて、大喜びしました。
「やった〜!とうとう、あの赤美に勝ったぞ!ボクはとうとうやったんだ!!」
ブタ三は、叫びながら家中を飛び跳ねました。
すると、どこからか黒い煙がモクモク出てきました。
「な、なんじゃこれ〜!!」
ブタ三は、とても驚きました。
外で赤美ちゃんが、ブタ三の藁の家に火をつけたのです。
「わざわざ家で料理しなくても、ここで丸焼きにして持って帰ればいいよね。」
赤美ちゃんは、火のついたマッチを次々と藁の家に放り投げました。
そのときの、赤美ちゃんの顔は、まさに悪魔・・・いえ、大魔王のようでした。
しかも、口元がうっすらと笑っていて、さらに怖さが増していました。
それに答えるように、火はどんどん大きくなりました。
中にいたブタ三は、大慌てです。
「ゲホッゲホッ!ブホッ!このままじゃ酸欠になって死んじゃうよ〜。」
涙目になりながら、必死に逃げ道を探しました。
やっとの思いで、ブタ三が家から出てきたときには、藁の家は、ほとんど灰となっていました。
しかし、ブタ三はそれを悲しんでいるひまはありませんでした。
外には、大魔王の微笑みのごとく、すさまじい顔とオーラを出している赤美ちゃんが立っていたのです。
「さぁ、豚!他の豚共のところに案内してもらいましょうか♪」
赤美ちゃんは、ブタ三をロープで縛りながら言いました。
ブタ三は、その手際の良さとオーラで、従うしかありませんでした。
ブタ三は何度も肯きました。
赤美ちゃんは気分が良くなったのか、可愛らしく微笑むと、ブタ三をスルスル引きずって、ブタ三が示す方へ歩いていきました。
さて、1匹捕まってしまいましたが、他の兄弟はどうなってしまうのか・・・!?