引きこもりのお買い物
この作品は今書いている【失われた日常】の原型を少し手直しして投稿したものです。特に凝った作品ではないので頭を空っぽにして読んでいただけるとありがたいです。(そもそも文章力が欠けている。)
現実に心地のいい場所なんて無い、どこに居ても苦痛を要せられる。分かっている現実い向き合わなきゃいけないことくらいは。しかし、インターネットという環境がどんどんと現実から切り離していっちまうんだ、要するにだ。
「逆に考えるんだ、現実に向き合わなくてもいいさと」
ぼそっと呟き、エンターキーを叩く。今日も同じような内容を検索して回っている。
俺の名前は平田洋。17歳の高校生であるが引きこもりである。将来?知らない子ですね・・・。どうせ俺みたいな社会不適合者には将来なんて無い、現実は非常なのだ。そもそもなんで引きこもりになったのかは分からない。
「さーて、動画でも見ますか。わくてか動画っと・・・」
「お兄ちゃん?お母さんがネギ買ってこいってさ~」
妹がいきなりドアを開け、俺の部屋の中に入ってくる。
「ノックぐらいしてよねっ!!」
「いや、きもいし」
受け狙いで思春期の女の子みたいな反応をしてみたが受けなかった、むしろ引かれました。
「で、何?ネギ?」
「そっネギ買ってきて」
妹はそう言うと俺の本棚から本をいくつか手に取り部屋を出ていった。
「なんで俺が・・・まあ、母上には逆らえないから行きますが・・・」
家は女性が強いのだ!何があったって男は尻に敷かれるのだ!父さんの給料が上がらないのは関係ない。
「ありがとうございました~」
ネギとその他のものをを買った俺は、店員の声を背に店を出た。引きこもりといったが学校にはちゃんと行っている。ただ休みの日にどこにも出歩かず、家でひたすらパソコンをいじっているだけなのである。コミュニケーションだって取れる、さっきだって店員さんと、
『ポイントカードはお持ちですか?』
『え、あの・・・持ってないです』
『失礼いたしました、合計で2560円になります。』
と会話はばっちり。何がバッチリなんだよどもってたじゃん、声裏返りそうになったしお金出すとき手が震えて一円玉落としちゃったよ。結論、コミュニケーション障害。
「やべえよ人と話せなくなってるよ」
すごい、これがネットの影響・・・!!人と会話しなくてもコミュニケーションが取れるインターネット最高!!
そんなどうでもいいことを思っていると前から歩行者が近づいて来たので距離を取ろうとした。しかしその歩行者は俺に合わせてくる。そして俺のすぐ近くまで来ると本を差し出してきた。
「これ、あげる・・・」
「え?あ、どうも」
断ることもせずに受け取ってしまった。
「え、あのっ!」
要りませんと言おうと振り返ったが、その人の姿はなかった。なんなん?
ありがとうございます。一応このお話しは13話ぐらいで完結する予定です。失われた日常と友香の奇妙な冒険、ただいま修正・加筆している承認証明マツダもよろしくお願いします。