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2014年/短編まとめ

n番煎じのバッドエンド

作者: オミ

「死ぬ?死ぬ?死んだ?」


くすくす笑う少女。


可愛らしい顔が醜く歪む。


手には不釣り合いな大振りのナタ。


俺の血で真っ赤に染まったそれに俺の影が映っていた。


「ねぇねぇ、死んだの?死ぬのー?」


ツンツンと俺の体をナタでつつく。


何でこんな事になったんだっけな。


体に力が入らない。


血を流しすぎたせいで力が入らないのだ。


俺は俺が作った血だまりの中で最期を迎えるのか。


無邪気な無邪気な邪悪な少女。


俺の血よりも綺麗な赤の髪が揺れる。


同じ色の瞳が俺を映して輝いていた。


憧れたのがいけなかったのか。


憧れすら持ってはいけないのか。


何で何で何で何で。


勇者なんていなくて、最強にはなれなくて、英雄には届かない。


俺が死んでもまた別の誰かが俺の代わりになる。


「つまんないの」


興が冷めたと言わんばかりに呟く少女。


俺に背中を向ける。


退屈そうに肩を落としながらナタを引き摺っている。


勇者にも英雄にもなれないならば、最強になれなくても一矢報いるくらいなら。


「…か、はっ」


綺麗な赤い少女は黒い黒い血を吐いた。


俺は笑う笑う。


これで最後だと。


ともに最期を迎えようと。


エンドロールには程遠い場所で。


銀のナイフを片手に握った俺は、それを振りかぶり再度その背に突き立てた。


黒に染まる衣服。


少女は赤の瞳を見開いて百八十度首を回転させた。


見た目は愛らしいのに、台無しじゃないか。


少女は少女ではなく、RPGでいうモンスター。


そして俺はn番煎じの偽勇者。


刺し違えてでも殺せばいい。


死んでも俺の代わりはいるんだから。


最期は笑って終わろうか。


赤と黒に染まった視界で俺は眠る。


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