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●第百七十九話 七位:精神支配‐①


《精神支配》は【第六十二話 崩壊、そして――――】他で出てきます。名前の通り、精神を支配する超能力。

実は作中最も強いのではなかろうか。


   [Main-03]




 目標は定まった。


 ならばそれをどう達成するかが次の問題だ。


啖呵(たんか)切ったはいいけど、さっきから考えることが多すぎてオレ辛くなってきた」


「うーん佑真さん格好つかないですね」


 ファン二号君がガッカリ気味だが、生来の資質なので許してほしいバカ一号。


 そういう点を補うのが波瑠の役割なので、彼女はまず実際に『銀燐機竜(シルバードラゴン)』を操縦していた当人に頼ることにした。


「美里さん、どうすればいいと思う?」


「……止めに入ってもいいですかねこれ。相手はあの【月夜(カグヤ)】。彼らの研究施設に自ら乗り込むリスクをお分かりでしょうか……お分かりなんですよね……」


「諦めて付き合いましょう美里さん。ぼくも初対面なので困惑していますが、これが『それがオレの道だ』イズムなんですよ、きっと」


「夢人、雑草の刑」


「ひいっ、佑真さん今のは口が滑っただけでガババ」


 雑草を頬にグリグリされるファン二号。美里は諦めた風にため息をついた。


「……『銀燐機竜(シルバードラゴン)』はランクⅩの能力者の人数に合わせて九つ。無論代替機も製造されていますでしょうが、実験段階であるため幸い大量生産には至っていない……はずです。それらを破壊すること、及び実験の首謀者を捕え、計画を破綻させることが当面の目標になるでしょう」


「首謀者が誰かわかれば話は早いんだが……そういや夢人、お前の『組織』はこの研究施設の調査を行っていたんだよな? 何かヒントになりそうなこと知らないか?」


「おいおい佑真さん、ぼくらは『敵の敵は味方』理論で協力関係にあるんですよ? 人の口に雑草を突っ込もうとしておいて無償でヒントを与えるワケが」


「弟子一号にしてやる」


「くっ、魅力的なエサですが佑真さん、ぼくも『銀燐機竜(シルバードラゴン)』と初対面であることをお忘れなきように!」


「胸張って言うんじゃねえちょびっと期待させやがって!」


「そんな暫定弟子一号から言えることが一つあります。『銀燐機竜(シルバードラゴン)』の開発、ようは科学技術方面でしょう? ならあの無機亜澄華と共に【神山システム】開発にも携わった天才科学者、鉄先(てっせん)恒貴(こうき)が関わっているんじゃないですかね?」


「「……」」


「あれ、佑真さんと波瑠さん揃って顔を伏せるのは一体全体?」


 何かまずいこと言ったかなーと困惑するファン二号改め暫定弟子一号。




 鉄先恒貴。


 この男についても、ある程度思い出す必要があるらしい。




 何度も話題に上がった『オリハルコン事件』の黒幕にして【月夜(カグヤ)】の一員。無機亜澄華という元・天才科学者とともに、世界最高峰のスーパーコンピュータ【神山システム】の開発に携わった来歴も有する。


「……〝天の書板(アカシックレコード)〟と(うた)われた【神山システム】の開発者であれば、確かにランクⅩの超能力を再現するシステムを構築してもおかしくないでしょうね」


 黙りこくっていた佑真達に代わって、美里が相槌を打つ。佑真も観念した風に大きくため息をついて、


「むしろ他に誰がいるって話っすよ。【神山システム】は五年間も能力者(天皇桜)の肉体を支配していたんだ、『機械が特定の超能力を操作する術』は学習済み。その次段階として『機械が特定の超能力を再現する術』に着手したっつーことか」


「なんか、仮定に仮定を重ねただけなのに正解にたどり着いていそうだね……」




『ならば「正解だ」という肯定を与えてやろうか、クソガキ共』




 脳に直接、声が響いてきた。


「「「っ!?」」」


 慌てて周囲に警戒体勢をとる四人。案の定――とでもいうべきか。木の上を通って『銀燐機竜(シルバードラゴン)』が、気づかぬ間に佑真と波瑠の前方上空に飛来していた。


 まだ距離はある。会話していたとはいえ、一切気を抜いていたワケではない。それでも接近に気づけなかったことを悔いようとして、波瑠はある発想に至った。


 人為的に『認識』を操作して、気づかれぬままに接近する精神干渉能力が、ランクⅩに一つ存在する。《思念伝達(テレパス)》や《感覚共有(ウィズフィーリング)》といった精神系統の全範囲を掌握する第七位(Nо.7)


(貝塚万里の《精神支配(リメイクエモーション)》……ッ!)


『流石は第二位(Nо.2)様だ、同ランクの能力は即座にわかるらしいな』


「……声に出していない思考を読む辺り、ある程度は使いこなしているみたいだね」


 このあたりで三秒が経過したのか、頭にぱちんと能力が解除される感覚が走って顔をしかめる佑真。〝雷撃〟をある程度自由に使えるようになったとはいえ、《零能力》の三秒間触れ続けると異能を消す、という機能は失われていない。


『なるほど、《零能力》は一対一で繋がる能力だと自分のみを解除の対象にするのか。ところで天皇波瑠、俺が自己紹介をする必要はあるか?』


「わざわざ都合よすぎるタイミングで声をかけてきておきながら、他己紹介を求めるの?」


 同じ『声』を聴いている夢人と美里が、目線で波瑠に問いかけてくる。波瑠はコクリと頷き返しながら、相手の名を叫んだ。


「鉄先恒貴! 私達に何の用!?」


『クハッ、何の用、とは随分冷たいご挨拶だな雪姫! わざわざ俺の研究施設まで《座標転送(ポイントテレポート)》で招待してやったというのに』


精神支配(リメイクエモーション)》を通じて、鉄先恒貴の高笑いが脳に直接響く。


『まだヒントをすべて与えていないにもかかわらず俺様へたどり着く辺りは相変わらずの豪運、人徳というべきか。だが都合が良すぎたとは思わねえか? 招待用の「銀燐機竜(シルバードラゴン)」に黒羽美里が乗っていて、「ランクⅩの超能力を再現する」という情報が出た瞬間に第二の「銀燐機竜」の強襲を受けた。これらは全て俺の「計画(シナリオ)」通りなんだよ』


 深い極まりない声は、やけに饒舌(じょうぜつ)だった。


『つ・ま・り。テメェらは全員俺の手のひらの上で踊らされていたんだよバカが!』


 反論する気も起きなかった。



 何故、彼が無機亜澄華より劣っていたのか。


 何故、彼が無機亜澄華に勝てなかったのか。


 それを象徴するような前説を今すぐ《零能力》で切断してもらいたかったが、波瑠は歯を食いしばって堪える。



「……私達をこの樹海へ呼び込んだのは、復讐のため?」


『それもある。本筋は俺が俺の手で創り上げた「銀燐機竜(シルバードラゴン)」の最終調整だがな。ランクⅩの第二位様と対異能戦闘に特化した零能力者は、相手役としちゃ最適だ。テメェらを殺せりゃ一挙両得ってワケよ』


「私を殺す、か。鉄先恒貴、あなたは復讐心に囚われたあまり、あなた達【月夜(カグヤ)】の目指すところに私の《神上》が必要なことも忘れたの?」


『そいつは挑発のつもりか? お粗末にも程があるぞ』


「挑発する必要もないほど冷静さを保てていないのは、お互い様だと思うけど」


 自分で言っていて、波瑠は歯止めが利かなくなりつつあるのを自覚していた。


 復讐心に(とら)われているのは、波瑠自身も同じだ。何とか呑み込んだはずの恩人の死が、着火剤になっていく。沸々と湧き上がる黒い感情をこらえるように拳を握りしめると、誰かが肩に手を添えた。



 佑真か美里が気遣ったのかと思いきや、意外にも夢人で。


 彼の手が触れるとしばらくして、波瑠の心のざわめきが落ち着いていった。



 ノイズが除去され、スゥ、と思考が鮮明になっていく。


 夢人に何をしたのか聞こうと思ったが、その前に《精神支配(リメイクエモーション)》が声を発した。


『……ハッ、まあ御託を重ねるのは直接会ってからにしよォや。

 テメェらはテメェら自身の「正義」とやらによって勝手に「銀燐機竜」を相手取る決意をしたらしいが、敵役として、もう一押しをしてやるよ。これで敵対ラインは完成(、、)だ。せいぜい足掻け、そして俺を満足させる「結果」を叩きだしてみろ』


 ブツッ、と声が途切れた。


 入れ替わるように、波瑠の脳に直接映像が流れ込んでくる。




 十字架に拘束された、裸の無機亜澄華がガラス張りの部屋に拘束されており。


 その部屋と壁一枚で繋がったモニタールームにて、鉄先恒貴と白衣の老人が波瑠達を監視している映像が。




「待っ、今のは……!?」


『テメェらの勝利条件は九機の「銀燐機竜」を破壊し、この俺様を止めること。黒羽美里をうまいこと利用し、ここまで来い』


 これで最後だったのか、《精神支配(リメイクエモーション)》越しに聞こえていた鉄先恒貴の『声』が終わった。けれど最後に残された映像こそが、波瑠の心を強く強く揺さぶってくる。もし夢人が手を添えていなければ、今すぐ叫び出すほどに動揺していただろう。


 波瑠は深く息を吸って吐き、



「………………無機さんが、生きている……?」



 見間違いかと思った。けれど十字架に括りつけられたジト目のお姉さんは、間違いなく無機亜澄華だ。立体映像、精巧に作られた人形。波瑠を挑発するための偽装(ダミー)かもしれない。


 あるいは――酔狂な男のやることだ。死体を括りつけているだけなのかもしれない。


 けれど。けれど。けれど。


「大丈夫か、波瑠? 途中からテレパシーが切れちまったから、オレには何が何だかサッパリなんだが」


「……、」


 波瑠が簡単に事の経緯を説明すると、佑真は乱雑に舌を打った。


「クソッタレが。鉄先恒貴は敵対を求めていて、おぜん立てとしてオレ達が救うための『被害者』を用意していた。それでも奴には物足りなかったんだろう。百パーセント敵意を持たせるための着火剤として、無機亜澄華を救えなかったっていうオレ達の後ろめたさを利用してきたんだ!」


「……ここまで素直に挑発されて、しかも模範解答まで用意されているとなると、乗るのが一番早いかもしれませんね。勿論、無視するのだって選択肢ですが」


 鉄先恒貴との因縁の外側にいる夢人が、冷静に呟く。


「もう無視できねぇ段階まで来ちまってるよ」


 佑真は木の上で様子をうかがっている(仕掛けてこないのも恐らく鉄先恒貴の意図するところなのだろう)『銀燐機竜(シルバードラゴン)』を見上げて、吐き出すように告げた。


「上等だ。わざわざ模範解答を提示したこと、後悔させてやる」




   ☆ ☆ ☆




 天堂佑真、天皇波瑠、夢人、黒羽美里。


 彼らが対峙するのは、九機の『銀燐機竜(シルバードラゴン)』。


 舞台は富士の樹海。


 打ち倒すべき敵は、鉄先恒貴。




 盤上に駒と条件が出揃い、二勢力の争いが本当の意味で幕を開ける。


 不自然なほど、明確に。




   ☆ ☆ ☆




 上空まで飛来していたはずの『銀燐機竜(シルバードラゴン)』だったが、何かを警戒したのか、ブワッと翼を広げると元来た方向へ引き返していった。


「あれ、戦わないのか?」


「行っちゃったね。何か仕掛けた気配もないし」


 どうやら《精神支配(リメイクエモーション)》を使って、鉄先恒貴と波瑠達を繋ぐ中継器(ルーター)をさせられただけらしい。こういった無駄な行動を取らせる雑さが、鉄先恒貴が『オリハルコン事件』をあと一歩のところで完遂できなかった弱点だ。


(……鉄先恒貴の脚本に従うのは(しゃく)ですが、ここは案内役として遣わされた役割を演じてみますか)


 武器も持たずパワードスーツを失った黒羽美里は、正直なところ、佑真よりも戦力にならない自覚を持っていた。そんな彼女が、ザッと樹海を進む一歩目を踏み出していく。


「美里さん?」


「わたしは『銀燐機竜(シルバードラゴン)』に乗り、東海道まで行きました。その際に使った『出入口』からならば、研究施設へ乗り込むことができるかもしれません」


「相手もそれを承知の上なんじゃ?」


「勿論、手厚く待ち構えているでしょうね。ですから近づけるところまで近づいて、そこから台本と違うアドリブを混ぜていくのはどうでしょう?」


 他に手段がないのも事実だ。やみくもに動き回るよりマシだろう、ということで四人は移動を開始する。




 ところで、ここが自殺の名所、富士の樹海であることを忘れてはならない。


 方向がわからなくなるほど似たような景色が続く樹海を四人が進み続けられるのは、夢人が時々方角や位置取りを美里に伝えて、方向を修正していたからだった。


「お前のそのスキルはなんだ?」


「方位測定に地図の把握……単なるスパイ以上の何かを感じますね」


「別に特別なスキルではないですよ? アナログ時計と太陽を使って、大まかな方位を測定しながら歩いているだけです」


 曰く、短針を太陽へと向けた時に12時が指している方が南らしい。言われてみれば、夢人は方角を告げる前にポケットから懐中時計を出したり入れたりしていた。


「いくら電子機器が発達したとはいえ、電池切れや破損は避けられませんしね。それと、今日が快晴で助かりましたよ。高い樹木に囲われていても日の指す方向はわかりますし、この測定法は季節による誤差がどうしても生まれてしまいます」


「それでもすげぇなお前。今回のMVPだ」


 素直に称賛され、夢人はそれほどでも! と鼻高だ。


「では位置取りの方はどう確認しているのですか?」


「位置情報は、歩幅などから常に移動距離を計算して『今どの辺にいるか』を定期的にチェックしているんです。感覚としては、頭の中で地図アプリを起動しているようなものですかね」


「簡単に言うけど一朝一夕で身につくスキルじゃねえぞ。本当にすげぇな夢人」


「へへん、それほどでも! ってドヤ顔パート2をしたいところですがこれ、諜報活動をする忍者にとって身につけていないと死活問題になったりもしてですね」


「「「ん?(、、) 忍者???(、、、、、)」」」


「コホン」


 夢人は咳払いをすると、それ以上モノを言わなかった。沈黙は是也的なアレらしい。


「ファンで《神上》で忍者って属性てんこ盛りだな暫定弟子一号……悔やまれるのは年下男キャラってトコか」


「そういえば夢人くんがさっき私の肩を触れた時、冷静になっていったんだよね。あれひょっとして忍術の類?」


「波瑠さんの期待を裏切るようで申し訳ないですが、あれはぼくの《脳波制御(プレッシャーオーダー)》っていう超能力です。適当な脳波を起こして精神を安定させる――っていう何とも言えないランクⅤです」


「あれ? でも夢人はSET持ってないよな?」


「ぼくは『原典(スキルホルダー)』なので、SETを使う必要がないんです」


「どこまで盛るの?《神上の宙(ゴッドブレス)》辺りから『実は全て嘘です』とかいうパターン?」


「全部真実ですよ、暫定師匠一号」


 そうして夢人に関する情報が増えたところで、暫定師匠一号がピタッと立ち止まった。


「? どうしました?」


 先頭を行く夢人や美里が、振り返って疑問符を浮かべる。佑真が「なるほどな」と呟いたことで、しんがりを務めていた波瑠は事を察して戦闘態勢に移る。


「《精神支配(リメイクエモーション)》?」


「ご名答だ波瑠」佑真は右拳に〝雷撃〟を圧縮した徹甲弾を構えて、「『銀燐機竜(シルバードラゴン)』は目の前に堂々と居座ってやがるぜ!」


 野球のピッチャーの要領で、前方の空間に徹甲弾を勢いよく投げつけた。




 バチン!! と超能力が崩れる感覚が世界に響き渡り、四人の視界に突如、飛来する『銀燐機竜(シルバードラゴン)』の機体が出現した。




「うわッ近ッ!?」


 正確には、出現したのではなくカムフラージュが解けた、というべきだろう。


 佑真達はそこにいるはずなのに「何もない空間だ」という誤認を押し付けられていたのだ。


 これが精神干渉系統、最強の《精神支配(リメイクエモーション)》。


(佑真くんの《零能力》があったから何とか気づけたけど、でも紙一重すぎる……っ)


 夢人が悲鳴を上げた通り、『銀燐機竜(シルバードラゴン)』との距離はすでに十メートルを切っていた。その上ですでに『銀燐機竜(シルバードラゴン)』は大口を開き、中にある銃口(砲口?)を構えている。


 命中は必至。超能力で対処しようとした波瑠だったが、


(――、――――!?)


 思考が、できない。


 狙いを定めたいのにぼやけていく視界。


「伏せろッッッ!!」


 心がキュウと委縮した瞬間、佑真にガッと押し倒される。波瑠の体が地面へ接触しないよう抱きしめられた状態で、バチバチッと雷鳴が森の中で(いなな)くのを聞いた。


 佑真の全身から〝神殺しの雷撃〟が放出されている。


 殺傷力を持たない〝雷撃〟は、夢人と美里をも覆い尽くしていた。ぱちん、と超能力が切れる感覚がすると、波瑠と同様に身動きが取れなかった二人も即座に身を伏せる。


 ゴガッ! と頭上を轟音が貫通した。


 間一髪通り過ぎた砲撃(?)が地面に衝突し、激しい爆風が佑真達を吹き飛ばす。


 波瑠は佑真に抱かれて訳がわからない間にゴロゴロと地面を転がり、飛び出た根っこに佑真のパーカーが引っかかった所で、何とか体勢を立て直した。


 夢人と美里も近くにいた。二人は爆風の中でも、佑真が周囲に広げている〝雷撃〟の範囲内にい続けたようだ。


「《精神支配(リメイクエモーション)》は精神干渉の能力だ」


 佑真は波瑠を降ろしながら、説明する時間が惜しい、と言わんばかりの早口で告げる。


「つまり、基本的に『能力行使』が目に見えないんだよ。気づいたうちにヤツの術中にはまっちまう」


「だからいつの間にかに体を動かせなくなっちゃったんですね」


「だが〝雷撃〟の中にいれば無効化できる。四人で常にダンゴでいるなんてヤバ気な雰囲気だが、少なくとも《精神支配(リメイクエモーション)》の優位を揺らがせるはずだ」


「じゃあぼく達は、この遠距離を保った状態で、敵の攻撃を四人で密集したまま避けつつ、戦わないといけない……と」


 夢人が弱気に呟くと、佑真は波瑠の肩を抱いているのとは逆の手で、夢人の頭をポンッと叩いた。


「不利も不利だがやるしかねえ、気合入れろよ弟子一号。相手は模造品(コピー)とはいえ一個中隊を殲滅(せんめつ)するランクⅩだ。波瑠におんぶに抱っこじゃなくて、オレ達が追い詰めるぞ」


「~~了解ですッ! ひゃっほう暫定じゃなくなったぜ! ところで今抱っこされているのは波瑠さんの方ですね、お二人って付き合っているんです!?」


「妙にテンション高いのは《脳波制御(プレッシャーオーダー)》を〝雷撃〟で解除しちゃってるからだと解釈するぞ真面目に戦ってくれよ!?」




   ☆ ☆ ☆





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