kiss
彼は私よりも背が高い
だから、困難である
“LINE!”
『明日、19時に集合してご飯行こー』
“LINE!”
『じゃあまた明日ね〜』
私はキスを仕掛けた
一緒に食事に行く
そしてもちろんのように彼は席につくはず、そしたらもう私の射程距離圏内
19時
この時期になると街の明かりがより一層際立つ
だから冬といえばイルミネーションなのだろう。納得がいく
「久しぶりだね」
彼はいつものようにやさしい声で言う
「久しぶり」
秘技!オウム返し
「どこか行くとこ決めてる?」
彼は聞く
私はなんとなくの目星はつけていたが
この言い方はどこか行きたいところがあるのかもと思い、
「特に!」
満面の笑みを見せつける
「そうか、」
彼は私の笑みにうろたえている様子
よしよし
「じゃあさ、そばとか食べたいんだけど」
場の雰囲気はこの際後回し。彼の提案だ
呑む一択!
「いいよ〜」
「じゃあ、立ち食いそばに行こうか」
「はへ?」
私はその言葉に動揺が隠せなかった
“ズルズルズルズル”
もうやけだ
私は思いっきりそばをすする
もうどうにでもなりやがれ〜(涙)
「行きたい所あるから、そろそろ出ようか」
彼は言う
というかこういうお店は落ち着いて会話をする場所ではないので、押し出されるように店を出る
私はこれだけでも充分満足だと思えた
だって、これだけ気兼ねなく立ち食いそばに2人で行けるなんて、仲が良すぎる証だもんね
「寒いね。大丈夫?」
彼が心配してくれる
「大丈夫!あたたかいそばが内側から暖房代わりになってるから」
笑顔
「ふふ、そうか」
彼は微笑む
そして私は彼が歩みについていく
するとそこには長い道、そしてずっと続くイルミネーションがあった
「わぁきれい」
ついて出た
「だよね」
彼は遠くを眺めている
彼は私よりも背が高い
だから、困難である
そう思いながら私もまっすぐ道の先を眺める
「ん?」
私は驚いた
彼は屈んでキスしてくれた
それは、やさしさだった




