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弟だけは守りたい

タイトル変えました。

すみません

プロット練ります、しばしお待ちを!

一文だけ削除しました。申し訳ない

この街は

誰も俺達を救わない。

二人で生きてきた。

それだけは、確かだった。

血は繋がっていない。

でも、気づいた時には一緒にいた。

体の少し大きい方が、前を歩く。

体の少し小さい方は、半歩後ろ。

言葉にしたことはない。

でも、分かっていた。

大きい方は、兄のつもりだった。

小さい方は、弟のつもりだった。

街では、それで十分だった。

食べ物を見つけたら、大きい方が少し多く取る。

全部じゃない。

ほんの一口分。

小さい方に渡す時、目は合わせない。

当たり前みたいにやる。

そうしないと、胸が苦しくなるから。

盗みをする時は決まっていた。

危ない場所には、大きい方が行く。

殴られる役。

追われる役。

囮。

小さい方は、路地の奥で待つ。

逃げ道を覚える。

足音を数える。

それで、生きてきた。

でも、限界は来る。

飯が見つからない日が続いた。

腹が鳴る音が、恥ずかしくなった。

体が軽くなって、力が抜けた。

盗みも、うまくいかなくなった。

殴られて、蹴られて、立ち上がるのに時間がかかるようになった。

その時、あいつが来た。

レン。

最初は、意味が分からなかった。

殴られない。

蹴られない。

値段も言われない。

「来い」

それだけだった。

罠だと思った。

売る気だと思った。

後でまとめて殺す気だと思った。

疑うのが、生き方だった。

連れて行かれた場所は、狭かった。

でも、屋根があった。

風を防ぐ壁があった。

飯が出た。

粥。

混ぜ物だらけで、味は薄い。

でも、腹に入る。

頭を下げた。

礼を言った。

そうしないと、捨てられる。

レンは、俺たちの名前を聞かなかった。

代わりに、女の子の名前を呼んだ。

「ミユナ」

その音が、胸に残った。

名前。

呼ばれるもの。

俺たちは、呼ばれなかった。

ミユナは、少し離れた場所にいた。

俺たちと同じように俯いていた。

でも、違った。

目が、レンを見ていた。

怒っていないか。

消えないか。

置いていかれないか。

それが、分かった。

だから、嫌だった。

羨ましかった。

意地悪をした。

飯を、奪った。

腕を掴んだ。

今まで、俺たちがされてきたことを、そのままやった。

街では、それが普通だった。

でも、違った。

レンに、見つかった。

影が動いた。

床を這って、壁に叩きつけられた。

息が、できなかった。

「出ていけ」

短い声だった。

助けられたはずだった。

救われるはずだった。

夜だった。

街灯もなかった。

捨てられた。

二人で、逃げた。

殴られた。

盗んだ。

追われた。

それでも、生きていた。

数日後、ミユナが来た。

包みを持っていた。

渡して、すぐに去った。

追いかけなかった。

呼び止めなかった。

泣いた。

感謝した。

謝った。

生きていて、よかったと思った。

あとから、分かった。

レンは、知っていた。

見逃していた。

それが、嬉しかった。

だから――。

奴隷商に捕まった時、耐えられなかった。

殴られた。

脅された。

「言え」

息が詰まる。

視界が白くなる。

走った。

ただ、走った。

足がもつれて、転びそうになっても、

立ち止まらなかった。

助かったはずだった。

なのに、胸の奥が、ずっと痛かった。

息が切れて、

涙が勝手に溢れてきた。

助かりたかった。

信じたかった。

名前を、聞いてほしかった。

呼んでほしかった。

それがあれば、

信じられた。

それだけで、

裏切らずにいられた。

でも。

拳が落ちた。

「飯はどこで」

ミユナの顔が浮かんだ。

迷惑をかける。

それでも、痛かった。

生きたかった。

「……レン……」

口が、勝手に動いた。

逃げた。

二人で、泣きながら走った。

助かった、と思った。

でも、また追ってきた。

意味が分からなかった。

もう、言ったのに。

もう、終わったはずなのに。

走った。

走った。

走った。

息が切れて、足がもつれた。

だれも、来ない。

助けない。

救わない。

俺たちは、知った。

感謝は、この街では武器になる。

優しさは、必ず刃に変わる。

名前は、呼ばれることはない。

この街で俺達の名前を呼ぶ人はいない。

二人で生きる。

それしか、残っていなかった。



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