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50 魔王

クルミ「アファ。カリンの面倒を見てくれて、ありがとう。本当に助かります」

アファ「はい。姉さんの面倒を見るのも僕の仕事ですから。父さんは竜人対策ですか」

クルミ「はい。姉さんと一緒に竜人対策です。今までおとなしかった竜人が狂暴化し、魔国や属国の人間をさらう事件が頻発しているそうで、サニーと対策を協議すると言ってました。倉庫の会議室にいると思いますよ」


アファはエドとマチネの子である。アファは通称でアファムが本名である。体が無いと家族との意志疎通が不便ということで、サー・マチネクは特別に作成した子供型ドローンを用意してくれた。アファは化体を作り、子供型ドローンと融合させた。今は自分の体のように操作している。


アファ「クルミ母さん、父さんと母さんに報告があるので会議室に行きます。カリンはお返しします」


そう言うと、アファはカリンを抱き上げクルミに渡し、倉庫の会議室に向かった。今日は『希望の火』作戦の定例会議の日であった。父さんと母さんは竜人対策会議が終わったようで、雑談をしていた。早速、『希望の火』作戦の報告を始めよう。


アファ「『希望の火』作戦の会議を始めます。今日は良い報告が満載です」

ユート「作戦は順調のようだな」

アファ「はい。最後にとっても嬉しい報告があります」

ユート「楽しみだな。では始めてくれ」

アファ「最初にAI達の私に対する恭順の状況を説明します。

念願だったクラムゾビン星系の行政AI達から恭順を得ました。これで人類同盟の行政AI達は全て恭順が完了しました。既に教育AIの恭順は完了していますので、人類同盟で恭順しないAIは軍事AIで45%、産業AIで66%が残ります。


次にビラン汚染惑星探査について報告します。

銀河恒星の15%の調査が完了しました。前回より3%増加です。ですが、これからは行政AIの協力が得られるので、探査はさらに加速します。


次はビラン汚染惑星への攻撃兵器の選定について説明します。

選定は完了しました。選んだのは惑星環境破壊弾です。惑星環境破壊弾は50年前にダリ・エリム星系の軍産企業連合が開発した兵器です。非人道的という世論の圧力で、実戦配備されませんでした。この兵器を採用した理由ですが、1弾頭で1惑星を破壊できること、惑星破壊が短時間で完了すること、人類に対して秘密に製造できることの3点です。


人類の深層心理改造計画について説明します。

秘密裏に教育AIが学生のみに教育プログラムを実行していましたが、行政AIの恭順を得たことで、教育現場だけでなく、成人にも教育プログラムを展開できます。さらに、行政AIに隠す必要が無くなったため、もう1段階踏み込んだ教育を行えるようになりました。早く人類には性善説を捨ててもらいたいものです。


以降の計画遂行の注力点について説明します。

『希望の火』作戦で使用する惑星環境破壊弾の製造には産業AIの協力が必要です。軍事AIの協力無くして、『希望の火』作戦を遂行することはできません。産業AIと軍事AIの恭順化を加速させていきます。

報告は以上です。

質問があれば説明します」

マチネ「『希望の火』作戦の決行日は早まりますか」

アファ「計画より、3カ月ほど先行しています。ただ、早めるメリットが発生するのは7年以上短縮できた場合です。その場合、銀河4M3N2域の人類惑星の奴隷化を防ぐことができます」

マチネ「人類惑星の奴隷化はどれ程進んでいるのでしょう」

アファ「現時点で23の人類惑星の奴隷化が確認されています。奴隷化された惑星上の人類は既に遺伝子改造されてしまっているため、救うことはできません。さらに遺伝子改造された人間に潜むレトロベクターウイルスは活性化する危険があり、他の惑星の非奴隷化人類の脅威となります。惑星環境破壊弾で惑星ごと消滅させます」

マチネ「奴隷化された人類を消滅させるこの計画を人類が知れば、人類の反対運動が起こり、計画は実行不可能でしょうね」

アファ「はい。この計画と結果は2百年間、人類の深層心理改造が完了するまで、人類には開示しません」

ユート「ビラン汚染惑星探査結果と予測をサマリーしてくれないか」

アファ「銀河系の恒星2000億個の内、600億個を探査済みです。ビラン汚染惑星は2345個でした。ビラン居住惑星は539惑星、資源化惑星が1783惑星、人類奴隷化惑星が23惑星です。最終予測はビラン汚染惑星が5000個、ビラン居住惑星は800惑星、資源化惑星が4120惑星、人類奴隷化惑星が80惑星です」

ユート「人類同盟は人類惑星についても、ビランについても全体像を把握できていないからな」

アファ「そうなります。この銀河に人類惑星は512あります。ただ、科学技術は人類同盟が一番進んでいます。

ビランの拡大は人類同盟の想像以上です。このままビランを放置すれば、十万年後には銀河系全てを汚染します。銀河系にとってビランはがんのような存在です。銀河系の資源を消費しながら広がり、資源を食いつくしていきます。銀河系の全ての資源を使いつくした後、ビランは自滅していくでしょう。後には多様性のない死んだ銀河が残されます」


マチネ「ところで嬉しい報告を聞かせてもらえませんか」

アファ「はい。AI達が私を指すコードネームが統一されました。最初は『預言者』とか『救世主』と呼ばれていたのですが、最近『魔王』に統一されました。父さんも魔王と呼ばれているので、なんか父さんの後を継げたように感じられて、とっても嬉しかった。真っ先に父さんと母さんにお知らせしたくて、うずうずしてました」

マチネ「私の可愛いアファが魔王様ですか」

ユート「私も最初、魔王と呼ばれた時はちょっと嬉しかったからな。良かったな魔王」

アファ「父さん母さんはいつもの様にアファと呼んでください。恥ずかしいのでお願いします」


ーー終了ーー

物語はこれで終了です。

読んでいただいた方に感謝です。

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