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45 ダザイ攻略

ハルファンを併合して3カ月が過ぎた。ボルキンで採掘した岩塩の第1陣が塩の道構築隊により西の大平原に運ばれていく。塩の道構築隊は8隊まで育った。中央基幹道は中間地点まで2000Kmが完成した。石積みの数は500。もうマチネ姉さんは駅長も決めていて、駅構築の指揮を取らせるそうだ。駅付近を遊牧地としている部族との調整も付いている。来週から駅を作るための人員500と資材を送り出す。

市民入れ替え作戦でヒムガムより市民1500人をボルキンとハルファンに送り出した。アロキア校外で難民暮らしの旧リンガハン住民の3千人をボルキンに移住させた。まだボルキンでの岩塩採掘は軌道に乗っていないが、6か月で軌道に乗る。

ハルファン併合により新たに得た市民2800人の教育も進んでいる。第一世代の市民のうち、教育者に向く200人を教師として教育すると共に、新市民の初等教育に当たらせている。


いよいよダイスタン帝国の攻略に掛かる。ダイスタン帝国の65%の軍事力を削ったが、まだ35%残っている。この残存軍事力は安易に出すことは無いだろう。この軍事力が無いとヒムガム魔国に対抗できないからだ。最初の攻略目標はダザイだ。ダザイを恭順させれば、帝国の20%の税収を奪うことができる。ダザイを狙われれば、帝国も軍を出動せざるを得ないだろう。


私の指揮するマウ隊の陣容は現在650、自律B型ロボット10人、自律E型ロボット2人、補給部隊1000人、空中E型ドローン2台とE型武器パック及び小型発電モジュールである。空中E型ドローンは補給部隊がマウ車で運搬する。自律E型ロボットには空中E型ドローンの整備をお願いしている。マチネ姉さんはダイスタン帝国の攻略に役立つ秘密兵器を用意してくれていた。名を成層圏浮遊型情報収集ドローンといい、高度30Kmを浮遊移動し、半径300Km内の情報収集を行う。能力は1億目標を識別し同時に追跡できる。人間一人一人を識別し、位置を把握するとともに移動を追跡できる優れモノだ。本当は飛行体や宇宙の衛星も監視できるのだが、今回はオーバースペックなので、使わない。それを3台、攻略にあてがってくれたのだ。成層圏浮遊型情報収集ドローンは既にダザイ周辺をカバーするように配置済みだ。


ハルファンを出た攻略軍は街道を進み、補給拠点を構築しながら、ダザイに直行した。そしてダザイの西南2Kmに陣を張った。攻略軍の陣からはダザイの東門は死角となり威圧できない。ダザイを治める貴族には是非、皇帝へ軍の支援を要請してもらいたい。そのために東門は出入り自由とした。ダザイに突きつけた要求は以下の7項目だ。


・ダザイの全て奴婢の解放し、ヒムガム魔国軍に引き渡す

・奴婢市場を解散し、蓄えて財は全てヒムガム魔国軍に供出する

・奴婢商を解散し、蓄えて財は全てヒムガム魔国軍に供出する

・奴婢を殺した者及び、死んだ奴婢の所有者と縁者は処刑する

・徴税の納付先をダイスタン帝国からヒムガム魔国へ変更する

・居住する貴族を追放する

・貴族が所有していた財産をヒムガム魔国に提出する


ダザイは冒険商人の出発の町だ。奴婢を扱う市場や奴婢商が多く、扱われる奴婢の数も多い。ダザイだけで奴婢は3000人いる。最大限の奴婢を助けてやりたいので、要求を工夫した。


私はダザイに築陣後、本隊からマウ隊2隊の120人と補給部隊200を分離し、分離隊を作った。分離隊に帝国の村を巡らせ、ヒムガム魔国への恭順を要求させた。ダザイに納税する村は全部で48村ある。その内、ハルファンからダザイに至る街道からアクセスできる村は28村ある。その28村には奴婢の提出と税の納付先をヒムガム魔国への変更を要求した。要求を拒否する村はなかった。


ダザイに恭順を要求して1カ月が経ったが、帝国は軍を動かさなかった。ダザイでは帝国軍は釣れなかったようだ。ようやく、分離隊が村の恭順作業を終え本体と合流した。


ダザイ解放電撃戦を開始する。時刻は5時半、C型高機動艦アイエナより投下した誘導落下弾が北門と西門を破壊した。隠れて潜んでいたマウ隊9隊が破壊した北門から走り込み、目標とする市場と奴婢商に直行する。奴婢を捕らえる牢を襲い抵抗する奴婢商たちを殺して行く。6時の日の出時刻には制圧完了の知らせが入った。西門から侵入したマウ隊1体は貴族邸を急襲し、奴婢の確保と貴族一党の殺害を完了した。解放した元奴婢を陣まで導き、補給部隊に引き渡し元奴婢の世話を任せた。


マウ隊には町中を巡らせ、本日中の奴婢の解放を要求した。この時点で殺された奴婢はいなかった。ただ、翌日になっても解放されない奴婢が36人いた。情報収集ドローンは奴婢を解放しない商店や施設を調べ上げてくれた。マウ隊を派遣し、奴婢を解放させると共に、奴婢を隠した一族郎党はその場で処刑した。


ダザイには厳戒令をしき、夜間外出禁止と商売の禁止を布告した。禁を破った者は例外なく死刑としたことで、厳戒令はダザイの住民に支配者が変わったことを自覚させた。奴婢商と奴婢市場から徴収した金銭を使い、町の被服商から元奴婢が着る衣服を買い討伐軍の陣まで届けさせた。

元奴婢は3237人いた。元奴婢には服の着用を義務付け、ヒムガム魔国の市民になることを促した。


サニー「マチネ姉さん、ダザイの占領と28村の恭順が完了しました」

マチネ「ご苦労さまでした。サニー准尉。ダザイの統治官ダトムと官吏50名、警察官100名を派遣します。7日でダザイに到着します。統治官ダトムに指揮権を委譲してください。それにしても毎回手際が良くなっていますね。感心しました」

サニー「今回は奴婢の被害は出ませんでした。それが本当に嬉しかった。しかし、ダザイでは帝国軍は釣れませんでした。残念です」

マチネ「帝都に直接圧力を掛ける必要があるかもしれませんが、ここは計画通り進めましょう」

サニー「わかりました。この後、元奴婢たちが魔弟の私に感謝したいと面会を求めてきました。初めて感謝されるので、嬉しいです」

マチネ「そうですか。この後もダザイ管理、抜かりないようにお願いします」

サニー「了解です」


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