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43 ハルファン併合

ハルファンで最初に狙うのは岩塩鉱山のボルキンだ。魔国国境から街道を進むとボルキンまでは230Kmある。途中に13の村がある。その13村は魔国に恭順させる予定だ。

私に与えられたのは自律人型Bロボット4人、短槍と弓で武装した300人のマウ隊と500人の補給部隊、それに加え元奴婢を魔国まで移動させるために必要な補給物資だ。

13の村には3つの要求を提示し恭順を求めた。


・使用中の奴婢の解放し、ヒムガム魔国軍に引き渡す

・奴婢の人数分の臨時徴税を課す

・徴税、賦役の納付先をハルファン王国からヒムガム魔国へ変更する


どの村も抵抗することなくヒムガム魔国に恭順した。

村の恭順作業と共に街道に沿って25Km毎に臨時の補給基地を設置した。補給基地には補給物資と補給部員50名を配置する。ボルキンで解放された2千人の元奴婢は魔国へ誘導するのだが、彼ら元奴婢は食事と睡眠をこの補給基地で取ることになる。

ボルキンに到着した魔国軍はボルキンと街道を遮断し、5つの要求をボルキンに突きつけた。


・使用中の奴婢の解放し、ヒムガム魔国軍に引き渡す

・奴婢の人数分の臨時徴税を課す

・徴税、賦役の納付先をハルファン王国からヒムガム魔国へ変更する

・居住する貴族を追放する

・貴族が所有していた財産をヒムガム魔国に提出する


ボルキンはこの要求を100%飲めない。当然だが要求を拒否し、戦う姿勢を見せた。

翌日、朝5時半、C型高機動艦アイエナから2発の誘導落下弾を投下した。誘導落下弾の1つは城門を破壊した。もう1つは貴族私兵の宿舎を破壊した。我々は夜明けと共にボルキンに攻め入り、貴族邸を占拠した。次に岩塩鉱山に行き、採掘を中止させた。

ボルキンに居住する貴族と平民2千人に家財の持ち出しを禁止した上で、2日以内にボルキンからの退去を命じた。彼らの避難先は王都のハルファンしかない。80Km、生きて到達できる距離だ。


ボルキンをヒムガム魔国が接収したことを宣言し、奴婢を解放した。次に元奴婢に衣服の着用を求めた。ボルキンの町に残る衣服と食料を元奴婢に解放し、自由にさせた。同時に元奴婢にヒムガム魔国の市民への参加を促した。1週間後、全ての元奴婢たちは服を着て、ヒムガム魔国の市民となった。


サニー「マチネ姉さん、ボルキンの解放が完了しました」

マチネ「ご苦労、サニー一等兵、市民入れ替え作戦は発動済みです。8日後に1次隊がそちらに到着します。1次隊にヨミル監督官を同行させます。ボルキンの指揮をヨミル監督官に引継ぎしなさい。1次隊到着の2日後には2次隊がボルキンに着きます。補給部隊200と補給物資はサニー一等兵の指揮下に入ります。現在の補給部隊はヨミル監督官に指揮権を移譲しなさい。次は王都ハルファンの攻略です。期待していますよ。サニー一等兵。以上」


教育済みのヒムガム魔国市民をボルキンに入植させる。同時に、ボルキンの市民は教育を施すため、ヒムガム魔国に移送する。その総称を市民入れ替え作戦と呼び、マチネ姉さんが指揮を執る。ボルキンの市民入れ替え完了後、アロキア周辺の難民から希望者を募り、奴婢の替わりに岩塩鉱山で働いてもらう。貴族等の中間搾取が無いので、普通の労働対価を約束できる。


ヨミルが気になりVVで顔写真を検索した。やはり女性で元奴婢である。1年弱で監督官になるほど優秀なのだろう。こんな優秀な人材を動物と同じように扱う奴婢制度は、間違いなくこの世界の発展を阻害している。


王都ハルファンまでは80Km、ボルキンから追い出された住民は難民となり、王都方面に向かった。ヒムガムからの1次隊が到着するまで、軍事訓練をしながら待った。攻略軍は全員マウに騎乗し戦う。さらに駆け足で弓を立射できる。そのため歩兵より圧倒的に機動力が高く、そのうえ遠距離攻撃が可能だ。マウ隊は60人1組で4隊を作り、隊に自律人型Bロボット1人を連絡要員として付けている。


到着した1次隊のヨミル監督官に指揮を委譲し、ハルファン攻略軍は王都ハルファン周辺の6村を回り、村をヒムガム魔魔国に恭順させていった。

そうこうするうちに、ハルファンも戦う準備が整った様だ。出陣の気配が見えると、サー・マチネクから知らせがあった。出陣した兵力は歩兵450、補給物資を積む荷車30台と補給部隊50。ハルファンの常設兵は500なので、兵50は王都に残った。ハルファン軍を打破した後、即王都ハルファン攻略に掛かるため、ハルファンに近い5Km西の街道付近で戦いを挑むことにした。


攻略軍を発見したハルファン軍は動揺したのか行軍を止めた。マウ隊は駆け足でハルファン軍に向かった。3分弱でハルファン軍と接敵する。マウ隊4隊は左回りでハルファン軍を取り囲みながら矢を射かけた。ハルファン軍は自然と陣形が丸くなり、足を止めざるを得ない。足が止まり、密集する標的に矢を射かけるので命中率が上がる。5分で全員を殺害した。


補給物資と武器を簒奪し、ハルファン王都手前2Kmの地点で陣を張った。軍を出陣させ半日もしないうちに敵が現れたのだ。ハルファンは東西の城門を急いで封鎖している。

攻略軍はいつもの要求書をハルファンに突きつけた。当然、ハルファンは要求を拒否した。

翌日、朝5時半、C型高機動艦アイエナから4発の誘導落下弾を投下した。誘導落下弾は西門と東門、宿舎、軍の施設を破壊した。夜明けと共にハルファンに攻め入り、王城と貴族邸を占拠し、王を含む王族と貴族を殺害した。市民には東門から2日以内に王都からの退去を命じた。退去にあたって家財の持ち出しは禁止した。ただし、奴婢を無傷で連れてきた場合、奴婢の人数と同数の家財を積んだ荷車の持ち出しを許した。これはボルキンでの反省を踏まえた措置だ。ボルキン占領後、100名近い奴婢の死骸が市街地の家や施設から発見された。ハルファンの周りに避難したボルキンの難民にも、奴婢殺害の懲罰としてハルファンから退去を命じた。


サニー「マチネ姉さん、ハルファンの解放が完了しました」

マチネ「見事です、サニー一等兵。市民入れ替え作戦はまだ完了していません。1カ月間、ハルファンで元奴婢たちの警護と市民化を進めてください。1カ月後、ヨミル監督官をハルファンに入れます。ヨミル監督官に指揮引継ぎし、ヒムガムに帰投してください。

この度の功績で、貴官の特別昇級が認められました。貴官は准尉に昇格しました。士官教育課程修了と同時に少尉となります。おめでとう。サニー准尉」


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