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 3 アース型惑星

サラン活動記録。1日目、記入:エド少尉


避難したアース型惑星をサランと命名する。救命ボートはサランへの降下に成功する。降下地点を経度0度とした。経度0度をサラン標準時とする。降下はサラン標準時の13時11分に行われた。

サラン大気組成を分析する。酸素、窒素の混合気体。人間が呼吸できるとの分析結果がでる。さらに私自身で呼吸することで、人間が呼吸できる大気であることを確かめた。

水と食料の残量が2日分となる。明日中にサランで水と食料を確保する必要がある。水と食料確保は明日の課題とする。

救命ボートに搭載されているサバイバルに利用できる物資の棚卸を実施した。以下に棚卸状況を記す。


 水、小ボトル(0.5l)、4本、大ボトル(2l)、4本

 食料、軍用レーション、4食

 救命ボート、エネルギー残量100日

 近距離軍事リンク構築モジュール、エネルギー残量700時間

 ドローン1台、エネルギー残量102時間

 太陽光発電ユニット、1台

 蓄電機、1台

 浄水器、浄水可能量10万リットル

 KK23EMライフルセット、1丁、ライフル保守キット、弾数120発

 G20EM拳銃、2丁、保守キット、弾数100発

 陸戦戦闘スーツ、4着

 戦闘支援ヘッドセット、4個

 衣料セット、4セット(ジャージ上下、下着3セット)

 生活キット、4セット(トイレットペーパー、9。タオル、6)

 中型軍用バック、2個

 小型軍用バック、2個

 軍用ポンチョ、4枚

 サバイバルキット、4セット(軍用ナイフ)

 炊事キット、4セット(個体燃料20個付き)

 救急医療キット、4セット

 汎用工具セット、1セット

 木工工具セット、1セット

 折りたたみスコップ、1丁

 折りたたみノコギリ、1丁

 折りたたみ斧、1丁

 ハンドライト、3個

 汎用電池パック大、4個

 汎用電池パック小、8個


ドローンが空を飛べるよう飛行モジュールを取り付けた。具体的にはプラズマエンジンを取り外し、ヘリウム浮体と3D機動プロペラを取り付ける。同時に機体制御PGMを空中飛行モードに切り替えた。


16:30よりドローンで救命ボート周辺を探索した。同時に地図情報を収集した。探索時間は1.5時間。

19:30より乗員シート4台ある内の1台の内部シートを撤去。長期冬眠プログラムを改変し、冷凍庫を作成した。

北1.5Kmに川を発見、川幅15m、東から西に流れる。南700mに巨木あり、樹高200m。巨木は救命ボートから見ても、その高さと枝葉の量が相まって山のように見える。西10Kmに岩石台地が見える。岩石台地の標高は100m、広さは300平方Km。


以上


サラン2日目、日の出、時刻06:00。私は救命ボートから北の川に向け出発する。装備は戦闘スーツと戦闘支援ヘッドセット。武器はライフルと拳銃、銃弾はそれぞれ10発をマガジンに装填した。中型バックパックに空の大ボトル10本を詰め込み背負った。川までは地図を頼りに、まっすぐ歩いた。始めの600mは草地だったので、歩きやすかった。草地を抜け林に入ったが木々の密度が低いのと草地より草丈が低いため、草地と大差ない速さで移動できた。ただ、草地より見通しが悪い。定期的に立ち止まり、周囲の索敵を行いながら進んだ。川までは30分で歩くことができた。

川までは階段状に地面が低くなっている。階段状に地面は草か低木は見えるが高い木は生えていない。川の淵の所々に白い砂地が見える。見通しが良いのと相まって美しい景色であった。

美しい景色とは裏腹に、川の周囲には所々大量の羽虫が舞い、蚊柱ができていた。羽虫は体長2cmほどの昆虫であった。防備が戦闘スーツと戦闘支援ヘッドセットのため、肌を外気に露出させていない。肌を露出させ、蚊柱に遭遇したらと考え、ぞっとしてしまった。

身を隠し、15分ほど川を観察したが、大型の動物は川の周辺にはいなかった。私は周囲を警戒しながら川の砂地まで進んだ。バックパックを背から下ろし、空の大ボトルに水を汲んだ。太陽にかざし水の水質を見たが有機物を含むためか、少し濁っていた。だが、この程度であれ浄水器に掛ければ飲料水にできるだろう。帰ろうとした時、川の下流100mほどの離れた場所に、大型の動物を発見した。立ち姿勢から身を沈め中腰になる。そのまま1分程動作を止め、動物を観察した。そいつはまだ私に気づいていない。戦闘支援ヘッドセットの望遠倍率を3倍のマックスに上げ、詳細を調べた。大型のカエルのような生物であった。それが5匹ほど川の傍でまったりと寛いでいるように見えた。戦闘支援ヘッドセットの物差しで確認すると50cmの大きさだ。私は運がいい。


『デイ、あいつ食えるだろうか』

デイ「確かめてみましょう。拳銃ではなくライフルの使用を推奨します」

『投的槍とアトラル(投槍機)を作ろうと思う。狩猟に貴重な銃弾はを使うのは避けたい』

デイ「経験が必要ですが、大丈夫ですか」

『ミドルスクール時代、キャンプに行った時、作って投げた経験がある。1時間もあれば作れる。ちょっと練習すれば、使い方は思い出すさ』


私は川から淵まで登り、最初に身を隠した場所まで戻った。水を詰めたバックパックを下ろし、防水バッグを取り出した。ライフルはバックの横に置いた。装備は拳銃のみとした。

近くの木を調べ、投的槍として合格点の槍を3本作った。次に木の枝からアトラルを切り出した。投的槍とアトラルができたので、投げる練習をした。アトラルで槍を投げる場合、ボールを投げるのと同じ動作で投げることができるため、投げやすい。更に投的槍を真っ直ぐ飛ばせるので狙い通りに投げることができる。

アトラルを使い投的槍を投げると、アトラルを使わず投げた場合の2倍くらいの速さで投的槍は飛んでいく。投的槍が振動しながら飛んでいくので真っ直ぐに飛ぶ。弓矢ほどの精度は無いが、15m位まで近づけば十分狙うことができる。

1時間くらいアトラルを練習した結果、それなりに投的できるようになった。

時刻は朝の8時、川の脇の砂場に戻ってきた。先ほどの場所を確認すると、カエルは10匹ほどに増えていた。

私はできるだけ身を低くして進む。50m進んで状況を確認するがカエルは逃げていない。更に25m進んだ。カエルは5匹ほどしかいなかった。だが、川から一番離れた所にいた大きめの3匹は逃げていなかった。私は草陰に隠れる様に身を更に低くし、ホフク前進で進んだ。目標としていた15mの手前で、カエルが鳴き声をあげた。「逃げられる」そう思い、立ち上がって前へダッシュする。カエルを確認するとカエルは川の方向を向いていた。逃げる準備をしている。私は左手に持った2本の投的槍を捨て、右手の投的槍をダッシュの勢いを乗せ、一番大きいカエル目掛け投げた。投的槍は狙ったカエルを逸れ、斜め右上に飛んでいった。だがそこに偶然、大きめのカエルがいた。槍はそのカエルに刺さった。


デイ「見事です。エド少尉がこんな特技を持っていたとは知りませんでした」


デイが褒めてくれた。せっかく褒めてくれたのだ。有難く受け取っておく。

狙ったカエルを逃し、逸れた槍が偶然、狙ってないカエルに当たったことをデイに言わなかった。


カエルは重さが20Kgほどある。食べられない部分を持ち帰っても労力の無駄だ。解体して可食部のみ持ち帰るのが合理的だ。持ち帰るカエルの部位を考える。この生物はカエルに似ている。だとすれば可食部は足と腕だろう。ナイフで足と腕を切り離す。骨が硬く解体は大変だった。カエルの血は緑色だった。酸素運搬体は銅を利用している。私の知っているカエルと同じだった。頭と胴体は川に捨てた。そして、足と手の血を川で洗った。綺麗になったカエルの足と腕を防水バックに突っ込んでいると、30cmほどの魚が捨てたカエルの胴体をついばんでいることに気づいた。この魚も十分食料候補になる。1匹サンプルに捕まえようと槍を構えていると川の中央から大きめの魚体が近づいてきた。とっさに狙いの対象を大きめの魚に変えた。じっと1分ほど待った。そいつが私の正面1mに近づいた時、槍を突き刺した。槍は魚の頭に突き刺さった。

頭に突き刺さったことで魚は即死し、暴れなかった。カエルの手足は10Kg位ある。魚も同じくらいあった。防水バックに入れようとしたが、カエルの手足しか入らなかった。魚は草で縄を作り、縛って手持ちで運んだ。手を塞ぎ、とっさにライフルが打てないので安全に問題があるが、魚を残して帰る気になれなかった。水とカエルと魚で40Kgになる。さすがに重かった。帰りは50分程掛った。


まず、川から持ち帰った少量の水を浄水器付属の検査キットで検査した。検査結果は浄水可、飲料可であった。持ち帰った20lの水を浄水器に掛けた。1時間で浄水は完了する。

カエルの肉と魚の肉をすり潰して溶液を抽出した。この抽出液に複合毒物検査薬で反応が出るか調べた。89種類の典型的な動植物毒素は検出されなかった。ただ、複合毒物検査薬では既に知られている毒物しか検出できない。本当に安全か調べるには実際に食べて調べる以外にない。私はカエル肉を100g切り出し、塩コショウで焼いて昼食として食べた。夕食は魚肉を同様に焼いて食べた。明日の朝まで体調に問題なければカエルも魚も可食とすることにした。カエルも魚も美味い。ご馳走と言っていいレベルであることを付け加えたい。これで、タンパク質の調達先は目途がついたが、アトラルや槍では相手が警戒しだしたら狩るのが難しくなるだろう。確保方法として、罠や釣りを検討する必要があるだろう。明日以降、炭水化物や糖分、食物繊維、必須ビタミン、必須微量元素の調達先を探そう。


午後はサバイバルの資源とするため、制御ウイングを回収した。惑星降下の際、救命ボートをこの地に導いてくれた装置だ。制御ウイングは布でできた飛行翼で、大きさは縦5mで横25m。風を受けると空気圧で膨らみ、飛行機の飛行翼に似た立体的な形状になる。この飛行翼の下に救命ボートはロープで吊るされている。左右のロープの張りを調整することで、下降スピードと進行方向を制御できる。この制御ウイングは炭素ナノキューブを繊維として撚り合わせた糸で織られている。また制御ウイングと救命ボートを結び、ウイングを操作するロープも炭素ナノキューブ糸を縒って作られている。両者は非常に軽く薄い。しかしナイフでは裂いたり切ったりできない強度がある。熱にも強く、簡単には燃えない。切断には、高電圧カッターが必要となる。高電圧カッターが工具箱にあることは棚卸時点で確認している。今は用途を見つけられていない物資だが、サバイバルの資源として優秀だ。半日かけて確保する価値はある。


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