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28 本隊到着

接収部隊が到着した。到着した筏は12台。筏には各種ドローンが積まれ、異様に見えるが、見物人はいない。町の住民にとっては、生き延びるのに必死で、筏どころではないのだろう。


マチネ少尉「エド少尉、只今到着しました。総員、装備とも異常ありません」

エド少尉「了解。こちらの作戦も順調です。早速ですが、町の破壊作戦は明日0600から開始します。作戦会議を開きたいのですが、予定はどうでしょうか」

マチネ少尉「今すぐ始めましょう」


私達が明日の作戦の準備をしていると、5人の住民が手を上げ、荷揚げ中の我々に近づいてきた。上空で警戒していたドローンが降下して、5人に警告を与えた。

ドローン「止まれ、それ以上、歩を前に進めるな」

ドローンの警告に5人の男は膝を曲げ、頭を下げてた。そして先頭の 男が大声を出した。

男「魔王様の御一行とお見受けいたします。私はリンガハン王国の国務大臣トマスと申します。魔王様にお願いの儀があって、参りました。どうかお取次ぎをお願いできませんでしょうか」

ドローンが可否を求めてきた。5人を暫く待たせるように命令した。


ドローン「暫く、そのまま待て」


もう作戦は進行中なので、リンガハン王国の国務大臣の話など聞いても仕方がないのだが、住民のアロキアへの避難を助ける一助になる可能性もある。少しの時間なら割いても良いと思い、マチネ少尉に意見を求めた。暗殺に注意するよう忠告を受けたが、同意してくれた。会談にはマチネ少尉、クルミとサニーの同席をお願いした。急遽のため、河原に椅子を2脚用意し、私とマチネ少尉が座った。クルミとサニーは私達の両翼の位置に立ってもらう。5人のロボット達にはリンガハン王国の国務大臣達が敵対行為をした場合、射殺するよう命令した。準備ができた。ドローンの国務大臣達を案内するよう命令する。


*    *


私は魔王との会談の取り付けに成功した。私はこの会談には2段構えで臨んでいる。1つは会談で魔王の意図を計り、リンガハン王国の存続に寄与する何かを見つけること。1つ目が見つからない場合は魔王の暗殺を行う。私は4人の暗殺者を従え、魔王との会談に臨んだ。

飛竜に導かれ、魔王の元に歩いた。そこには4人の魔人がいた。噂では魔王の背は4mと言われていたが、魔人は人と同じような背格好であった。服は緑や青、黒のまだら模様の服で、頭の位置に黒い作り物の頭が生えていた。右端の魔人が我らに命令した。


魔人「面を上げよ。手は地面から離すな。手を離せば敵対行為とみなす。要件を述べよ」

トマス「リンガハン王国の国務大臣トマスと申します。我らには魔王様に逆らう力はございません。我らが願うのはリンガハン王国の存続です。そのためなら、我らの持つ財産、労力、人間、土地を魔王様に献上いたします。もちろん、魔王様がお望みのリンガハンは既に魔王様のものにございます。なにとど、ご慈悲をもって、リンガハン王国の存続に力をお貸しください」

魔王「我が魔王だ。トマスよ。リンガハン王国の存続など、我の興味の外だ。邪魔もしないし協力もしない。好きにせよ。献上も不要だ。我は欲しければ取る。だが、手ぶらで帰るのも寂しかろう。一つ良いことを教えよう。明日から町に攻め入るが、戦うものは殺す。留まる者は殺す。逃げる者は殺さぬ」

トマス「アロキアに逃げても良いのでしょうか」

魔王「我らに戦いを挑む者は殺す。リンガハンに留まる者は殺す。逃げる者は追わぬ。そして殺さぬ」

魔人「会見は終わりだ。立ち去れ」


私は結局、魔王の暗殺は命じなかった。魔王はアロキアに逃げても良いと言っている。町には貴族や商人たちが留まっている。リンガハンの富の内、不動産は救えないが、金貨などの動産であれば持ち出すことができる。リンガハンの富を少しでもアロキアに移す必要がある。税を徴収しようにも富がなければ徴収できない。私はリンガハンに残る官吏を集め、貴族や商人の組合を通じ、アロキアに逃げるよう通達を出した。


*    *


翌日、魔王軍は町に攻め込んだ。魔王軍は西門跡から街道の両脇の建物を壊しながら街道を進んでいく。街道にいた者はドローンのレーザー銃で焼かれた。魔王軍は街道にいる者を攻撃するが、街道に面していない建物の人間は襲わない。昼頃には北門から延びる街道の丁字路まで進軍した。建物の陰から魔王軍を監視していた町の住民たちは、魔王軍の進軍で出る被害を予測できるようになっていた。街道の奥の建物に被害が出ないとしても、上水が切れて3日め、もう、家々のカメの水も底をつく。町に留まってもジリ貧であることは住民も理解している。夕方、魔王軍が北門跡の外で、陣を張っているとの噂が町に広まった。

西門の街道を東に進めばアロキアに着くことは皆知っている。夜になると、ありったけの財産を抱えた貴族や商人たちがリンガハンから逃げ出していった。街道を東に進んだ所では、逃げ出す者が列となってアロキアに続いた。


次の日から3日間、魔王軍は北門の外の陣から動かなかった。最初は夜に逃げ出していた住民も、3日目になると夜ばかりでなく昼間にも逃げ出すようになっていた。ミス・アイエナに問い合わせたところ、リンガハンから住民の71%が流出したとの回答があった。中間目標値はクリアできた。


町の破壊計画通り、北門から王宮前までの街道、両側の建物を破壊し、北門の基地まで戻る。ここで2日待機する。その間にも住民の流出は続き、住民の82%がリンガハンから去った。町の破壊計画は完了した。


リンガハンから去った住民のほとんどは難民となりアロキアに押し寄せていった。アロキアの人口の2倍の難民が押し寄せるのだ。秩序を持たない難民はアロキアの経済を破壊し、風紀を破り、人心を破綻させるだろう。アロキアの経済活動は時間ごとに縮小し、王政を支えるだけの経済原資を失う。同時に社会は細分化され、小さな軍事力を持つ組織が群雄割拠する時代に逆戻りするだろう。

一方、リンガハンでは平民が凋落し、奴婢が主役になる。そして、ここでも小集団の群雄割拠状態が生まれるはずだ。

ただ、これには前提条件がある。外部勢力の介入が無い場合に限られる。

少し先だがリンガハン王国は魔王が接収することになるだろう。同時に竜人界も接収する。これで奴婢制度は供給元と大きな消費先を失うことになる。


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