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20 補給物資

どの様な補給物資を提供してもらえるか、重力カーゴ容量やパック詰めの干渉など複雑な考慮が必要なため、私は希望を伝え、ミス・アイエナに私の希望に見合う補給物資を見繕ってもらった。私はエネルギー、安全、食料、水、衣服、生活品質の6つの物資の補充をお願いした。ミス・アイエナは3時間ほどで補給してくれる物資リストを作成してくれた。


物資リスト

 地下式超小型ガス原子炉1基

 送電線パック

 空中A型ドローン

 空中B型ドローン

 空中C型ドローン4機

 空中E型ドローン8機

 空中ドローン整備部品パックX3

 空中A型ドローン装備武器パックX2

 空中B型ドローン装備武器パックX2

 空中C型ドローン装備武器パックX8

 空中E型ドローン装備武器パックX16

 ドローン発着場

 近距離監視攻撃塔セット

 固定型レーザー砲

 固定型ライフル銃

 固定型レーザー銃X4

 各種ライフル銃X13

 各種拳銃X13

 ライフル弾1万発

 拳銃弾千発

 土木B型ドローンX2

 汎用B型ドローンX2

 輸送B型ドローンX2

 Bドローン整備部品パック

 対人防御壁5000m

 前線基地10型セット

 野戦病院3型セット

 AI医療治療台1台

 食堂6型セット

 炊飯調理6型セット

 浴場洗面6型セット

 訓練糧食9000食

 井戸上水セット

 下水浄化セット

 陸上軍衣料各種

 洗面備品

 衛生備品

 自律人型Bロボット4人

 自律人型Eロボット4人

 野戦兵舎6型セット

 作業台2台

 

ミス・アイエナに作成してもらった補給物資のリストを見て、私はこれら全てを有効に活用できるだろうか、そちらが心配になってきた。


私「ミス・アイエナ。一個一個の物資の必要性は分かる。しかし、どの物資も専門性が高すぎて設置すらできないかもしれない。例えば、地下式超小型ガス原子炉なんだけど、私では設置どころかアンパックもできない。その、もっと原始的な物の方が嬉しいというか、使えるんだけど」

ミス・アイエナ「はい。このリストで、エド少尉がアンパックできるのは洗面備品と衛生備品だけです。他の物資はエド少尉が触ると壊れる危険があるので、手を出さないでください。アンパックから設置、検査、調整、運用はマチネ少尉が担当すると聞いています」

私「マチネ少尉?、だれ?」

ミス・アイエナ「サー・マチネクの分体です。名前はマチネ、階級は少尉です。重力カーゴにはマチネ少尉が搭乗します」

私「了解」


サー・マチネクから分体のことは聞いていた。名前はマチネなのか。階級は少尉?、サー・マチネクは大佐なので、てっきり分体も大佐と思い込んでいた。


いつの間にかオープンワールドでの私のサバイバルは終了していた。しかしこれだけの物資だ。運用まで時間がかかるだろう。それまではサバイバルを頑張りたい。


私はクルミとサニーのことも含め、私自身どう生きていくか悩んでいた。クルミは15歳、サニーは12歳、私の世界では二人とも未成年だ。現状、保護者は私だ。惑星サランで軍務を続けるとすると、二人の兄弟をどうやって育てるかが問題になる。両頬に奴婢の刺青を持つこの兄弟はこの世界の社会では奴婢としてしか生きられない。一生、誰かの保護が必要だ。

軍務を続けないという選択はあるだろう。あまり考えたくない選択肢だが、一人で軍隊ごっこなど、よほど強固な目的がなければ何年も続けられないだろう。サー・マチネクから「我々の目標」について考えておけと命令されている。サー・マチネクも目的をもたない軍隊は軍隊ごっこと考えているのだろう。

軍人としての目標を失ったこの時、私は軍を解散し、クルミとサニーを保護しながら惑星サランで生きていこうと考えていた。


後10分で重力カーゴが到着する。私、クルミ、サニーは不測の事態にそなえ、いつも水浴びをする川で重力カーゴの到着を見ていた。クルミとサニーにはこれから起こることを事前に説明しているが、こちらの世界に無いものばかりなので、それを表す単語がなく、二人が理解したかはなはだ怪しい。生活も急激に変化するので、精神的に病まないかと心配している。


東から注ぐ朝日に照らされ、重力カーゴが上空から降りてくるのが見える。低層気流の流れが安定する夜明け、朝6時に重力カーゴの到着時間は設定されていた。


ミス・アイエナ「重力カーゴが目標地点に着地しました。着地誤差は2mです。方向誤差はありません。警戒退避を解除します」

私「ミス・アイエナ、了解」


私達が救命ボートに戻ると、救命ボートの西側100mの地点に濃緑の四角い重力カーゴが横たわっていた。重力カーゴは規格品で縦横高さ30mのキューブ状をしている。近づくにつれその大きさに驚かされる。重力カーゴの東シャッターは開いていて、シャッターの前には一人の女性が何か作業をしていた。私達が近づくと、女性もこちらに気付き、走って来る。その走姿を見て、なぜか姉さん達を思い出した。

この女性がマチネ少尉に間違いない。


マチネ少尉は僕の前まで来て敬礼をする。私も敬礼をする。


マチネ少尉「これから一緒に任務を遂行するマチネです。階級は少尉です。命令順位は8591です。30分前に基地に着任しました。物資のアンパックを始めていました。エド少尉、これから宜しくお願いします」

私「はい。こちらこそ宜しくお願いします」


私はどぎまぎして、言葉がぎこちなくなってしまった。マチネ少尉を見ていると何かそわそわしてしまう。それに姉さん達や母さんにどことなく似ている。顔、形ではなく雰囲気が似ている。もう一つは命令順位だ。階級が同じ少尉でも、だれが命令するかは厳格に決まっている。それが命令順位で番号が若い方が命令の上位者となる。私は少尉だが技術士官なので通常の士官より命令順位は低い。私の命令順位は8590。マチネ少尉より私は命令上位者なのだ。サー・マチネクは何を考えているのだろう。


マチネ少尉「エド少尉、そちらの二人に私を紹介して頂けませんか」

私「こちらがクルミ、こちらがサニーです」

私「クルミ、サニー、こちらの方が、前に話したマチネさんだ。挨拶しなさい」

サニー「サニーです」

クルミ「クルミです」

マチネ少尉「クルミ、サニー。私は魔人です。魔人様の同僚です。名前はマチネです」

サニー「貴方も魔人様なのですか」

マチネ少尉「サニー、クルミ。私は魔人ですが魔人様ではありません。私を呼ぶときは必ずマチネと呼んでください」

サニー「はい」

クルミ「はい」

マチネ少尉「クルミ、貴方はサニーと兄弟ですか。年齢も教えてもらえますか」

クルミ「はい、兄弟です。私は姉で15歳です」

サニー「弟です。12歳です」

マチネ少尉「サニー、クルミ。私はこれからここで暮らします。よろしくね」


マチネ少尉「エド少尉、切りが悪いので物資のアンパックを継続したいのですが。よろしいですか」

私「はい。その、マチネ少尉はこの世界の言葉が話せるのですね」

マチネ少尉「はい、エド少尉がサー・マチネクに提出した副脳ログで学習しました」

私「マチネ少尉に相談があります。時間を取れますか。1時間確保してほしいのですが」

マチネ少尉「12:00からでよろしいでしょうか」

私「はい」


重力カーゴで人型ロボット達を手際よくアンパックするマチネ少尉を見ながら、私はサニーとクルミを手伝わせ、薪割りをこなす。ミス・アイエナからは支援物資の設置稼働は1週間で終ると伝えられていたが、どうやら本当の様だ。早急に決めなければいけないな。そう思いながらも、自分の考えをまとめていた。私とサニーとクルミのサバイバルゲームは後1週間で終る。今までは食と安全確保で、1日の全ての時間を使い果たしていた。支援物資が稼働しサバイバルゲームが終ると、今までのような食と安全確保に使う時間は必要なくなり、1日の時間を自由に使えるようになる。私に軍務が与えられていれば、軍務に使えばよいが、母星の宙軍から断絶し、生きているうちに復帰できる可能性のない状況では、現在も、そして将来も軍務はない。私は軍を除隊、または軍を解散し、サニーとクルミと共に、この世界に溶け込み、人生を全うしようと考えていた。これがサー・マチネクから与えられた命令、「我々の目標」に対する私の回答だ。


マチネ少尉「エド少尉の意見はもっともですが、結論を先延ばししてください。先延ばし期間は1年2カ月です」

私「1年と2カ月後ですか。理由を聞いてもいいですか」

マチネ少尉「機密レベル6の情報のため、詳しく教えることができません。人類種全体にとって最も重要な事項に関連しています。いま、サー・マチネクは確証を得るため、調査中で、結論は1年後に出ます。調査事項が真実の場合、エド少尉、サニーとクルミが必要になります」

私「サニーとクルミもですか」

マチネ少尉「はい、サニーとクルミを軍に入隊させるようエド少尉の協力をお願いします。二人が軍に入隊すれば、軍の保護を受けられます。もちろん二人には除隊の自由もあります」

私「今は私が、サニーとクルミの保護者です。軍が保護してくれるのなら、二人のにとっても良い話なので、勧めて見ます」

マチネ少尉「エド少尉には二人の教育と数件の調査が命じられる予定です」


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