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ラジオの裏側で(完結済)  作者: ユズ
ラジオの裏側で 〜特番〜
35/39

〜 雪降る朝には(瀬田編)〜

何気ない日常のSSショートストーリーです。


同じタイトルで西條編もありますので、読んでいない方はそちらもどうぞ!

「…寒い…」


目が覚めた途端、寝ている間には気付かなかった感覚にビックリして思わず出た言葉がこれだった。


いつもより部屋の空気がキーンと冷えている気がして自然と体が震える。寒さを自覚すると、なんか頭も痛いかも。


モゾモゾと寝返りを打ち窓の方に目をやると、カーテンの隙間から漏れる光がいつもより明るい気がして慌てて枕元を探りスマホを確認する。


「…なんだ、いつも通りの時間か。って今日は土曜だった」


休みだった事に気付き、ほっとした。ぼーっと窓の方を見ていると隣から気持ち良さそうな久保の寝息が聞こえてくる。その事になんだかまたほっとして、思わず笑みがこぼれた。


起こさないようにそっとベッドから抜け出し窓の方へ近づくと、足元のヒンヤリとした空気が強くなり、ブルッと震え反射的に体が縮こまる。気付いたら腕をさすっていた。


カーテンの隙間を指で少し広げ外を覗くと…


「うわっ、マジか!」


急いでベッドまで戻り、寝ている久保を揺すった。


「久保さん、起きて!ねぇ、起きてって!」


この嬉しさを久保と共有したい。

なかなか起きない久保の体をさらに揺する。


「…みずき…?」


急に起こされて何がなんだか分からない久保が欠伸をしながら眠そうな眼をこちらに向けてきた。


「久保さん、外見て!雪が積もってる!」


雪と聞いた久保は顔を顰め、背を向けたと思ったら布団を頭から被って丸まっている。


俺だけがテンション高くなってるのが楽しくなくて、布団をガバッと剥がしてベッドの上に乗り顔を覗き込むが…


「瑞樹…寒い…」


文句を言われると、なお、面白くなくなる。そんな久保の耳元に顔を近づけ


「久保さんと一緒に雪だるま作りたいと思ったんだけどな…。2人で作ったら楽しいと思っただけなのに…」


と、いじけたような声で呟くが、反応しない久保を見て大きな溜息が漏れた。


諦めてキッチンへ行きインスタントのコーヒーを淹れると、それを持ってリビングの窓から舞い落ちてくる雪をぼーっと眺めた。


ひらひらと舞う雪を見ていると、上から降ってきてるはずなのになんだか上に吸い込まれていくような変な錯覚を起こしてしまう。だからなのか、雪が舞う様子はどれだけ見ていても飽きることがない。




目が覚めたと同時にエアコンをオンにしたのになかなか部屋が温まらない。外の寒さを想像するとそれも仕方ないんだろうな。

一面銀世界になるほど雪が積もってるんだから。


寒い部屋の中で、両手で持ったマグカップから温かさがじんわりと伝わってきて心地いい。

でも、窓際にいるせいで足先からどんどん冷えていく…。


このまま眺めていても冷えるだけなので、コーヒーを飲み服を着替えるため寝室に戻った。



ベッドではまだ久保が丸まって寝ている。時間を確認するともうすぐ9時になるところだ。そろそろ起きないと遅刻すると思うんだけど…。


「久保さん、そろそろ起きたほうがいいんじゃない?雪降ってるから少し早目に出た方がいいと思うよ?」


俺の家から局までは歩いて10分程だが、外を見るとそれなりに積もっているからもっと時間がかかるだろう。


ベッドまで行き、全然起きる気配のない久保の体を揺すると寝ぼけている久保に腕を引っ張られベッドの中に引き摺り込まれた。

久保に抱き抱えられる形になり、抜け出そうと踠くが寝ているにしては力が強い。


「…久保さん、起きてるでしょ」


「瑞樹こそ、今日が土曜日だって忘れてるだろ。俺、土曜の仕事は昼からだぞ」


ハッとして久保の方を見ようと頭を動かすが、抱きしめられている腕が緩まらないため視界はほとんど変わらない。

寝起きにスマホで確認したのに、どうやら雪でテンションが上がってすっかり土曜だってことが抜け落ちていたみたいだ。


「このままもう少し瑞樹とイチャイチャしたら、雪だるまでも作るか」


頭の上から久保の優しい声が降ってくると、つむじにキスされた。


ちゃんと聞いていてくれた事が嬉しくて久保の胸に顔を埋めて頷いた。

雪に対しての瀬田の反応は、まんまユズです…。


周りにドン引かれましたが、雪が大好きな私はいつまで経ってもこんな感じなんです!

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