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【完結済】ラジオの裏側で  作者: ユズ(『ラジ裏』修正版・順次更新中)
第2章:Re:sonance ― 共鳴 ―

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5゜〜本当の王様って…〜

「王様ゲーム」と、お題を頂き書いたお話しになります。


番組メンバー勢揃いって書いたことがなかったかも?

今回はIORIのはっちゃけ具合をお楽しみいただければ♪

2月も下旬に差し掛かった日曜日の夜、適度に酒が入っていることもあり普段ならスルーしてしまうような事もやっちゃうんだよな…。

絶対に後で後悔する事になるんだけど…。




今日は番組の「かなり遅めの新年会」という事で、俺、瀬田瑞樹が企画した飲み会だ。

レーティングからクリスマス、年末年始にバレンタイン…と冬の怒涛のイベ祭りを無事に終わらせ、打ち上げしたいよね…となり、局に近くて個室がある居酒屋で飲んでいる。


少し前までは感染症が流行していて飲み会は自粛ムードが漂っていたが、最近はそんな事を気にしなくなってきた。

局でもチラホラ飲み会が復活してきているので「そろそろうちのチームも良いんじゃない?」となってスケジュールを合わせていたらこんな遅い日程になったんだけど、みんなの楽しそうな顔を見ていると企画してよかったなって思う。


IORIがいるので個室にしたが、他の人の目に触れないからかいつもより行きすぎたのかもしれない。

あと、久しぶりで楽しかったというのもあるんだろう、沙希はかなりハイペースで飲んでいてテンション高くなっているし、酒に強くない西條もかなり飲んでいるために顔が真っ赤だ。


IORIと俺は酒に強い…というかザルなのでいつもと変わらないが、流石に今日は飲みすぎた気がする。

そろそろ烏龍茶に切り替えようとタブレットで注文をした。


「そういえば、土曜日の番組で“飲み会あるある”ってテーマでメッセージ募集したんですけど、その中に“王様ゲームは定番”っていうメッセージがたくさん来たんです」


急に目の前に座っていた西條がそんな事を言い出した。


「飲み会の定番と言うか、合コンの定番…ですよね!結構盛り上がりますよ」


「確かに合コンのイメージが強いかな」


沙希とIORIが話しに入って行くが、嫌な予感しかしない。大抵こういった予感って当たるんだよな…。

そんな事を思いながら注文した烏龍茶を飲みながら一歩引いて眺めていた。


「俺、王様ゲームってやった事ないんですよ。大学時代はサッカー部とバイトで飲み会とかほとんど参加しなかったんで」


今の西條の言葉でフラグが立ったのが分かり頭を抱えたくなった。


「じゃあ、試しにやってみます?」


やっぱり…。言った側から沙希が楽しそうにテーブルの隅にある箸入れから割り箸を取り出してクジを作り始めた。


「本当はもう少し人数多い方が楽しいんですけど…」


そう言いながらも着々とクジを作っていく。


「IORIさん、止めてくださいよ。何楽しそうにしてるんですか」


隣に座っているIORIに体を寄せ、肘で突いて小声で文句を言うが「楽しそうなことは全部乗る性格なんでね」と意地悪そうな笑みで返され溜息が出た。


いつの間にかクジが出来上がっていて、沙希が西條にルールを説明しているのが聞こえさらに大きな溜息が出る。


「じゃあ行きますよ!ほら、瀬田さんもやるんですからね」


王様は赤色で印が付けてあるらしい。

諦めて目の前に差し出されたクジを引く。チラッと割り箸の先端を確認して、またもや溜息が出る。




「「「「王様だ〜れだ!」」」」




勢いよく手を挙げたのは沙希だった。


「私が王様ですね!じゃあ、王様ゲームの定番と言えばコレですよね。2番が3番にキス」


マジか…。やっぱりそうなると思ったからやりたくなかったのに…。


仕方なく手を上げて2番と申告すると、3番はIORIだった。


「お、瀬田くんが相手か。いつでもいいよ」


IORIを見ると意地悪そうな笑みを浮かべてる。場をシラけさせるのも嫌なので諦めてキスしようとIORIの方を向き、頬に顔を近づけた時…


今、何か電子音が聞こえたような気がしたんだけど…。


「瀬田さん、IORIさんの唇にキスしてくださいね」


沙希から容赦のない注文の声が聞こえ、さっき聞こえた音がなんだったのかという疑問はすぐに頭の中から消えてしまった。

目の前にいるIORIを見るとニヤニヤと楽しそうに「早く」と手を広げて待っているんだけどなんでそんなに乗り気なんだ?


大きな溜息を吐き、仕方なくIORIの唇に自分の唇を触れさせるとすぐに離れた。

どうみても事故レベルのキスだが、唇が触れたのだからキスはキスだ。


向かいに座る沙希からはブーイングが起こっているが無視をした。


視界の端で西條がスマホで何かしているのが見えたが、誰かから連絡でも来たんだろうと思いその時は全く気にしなかった。


「はいはい、次行くよ」


今さっきした事は無かった事にしようと、勝手に進行する。


「じゃあ、2回目行きますか」


沙希がそう言うと皆んなから割り箸を集め、両手で混ぜ差し出した。



「「「「王様だ〜れだ!」」」」



今回、勢いよく手を挙げたのは


「また沙希ちゃん?」


IORIが「引きつよいな〜」と言いながら大笑いしている。


「さっきの瀬田さんのキスが消化不良だったのでリベンジで!今回は1番が3番にキス。しかも、大人のキスで!」


かなり酔っ払っている沙希のエスカレートしていく要求を聞きながら、引いた番号を見つめほっと胸を撫で下ろした。


「おっ、俺1番で…誰が3番?」


IORIが俺を見るが、首を振ると残念そうに向かいの西條を見て溜息を吐いた。


「西條くんが相手か…。せっかくなら瀬田くんが良かったんだけど、まぁしょうがない」


「しょうがないって…IORIさん。そりゃ、瀬田はかわいいんで気持ちは分かりますけどね」


頭上で交わされる会話を聞きながら、なにがかわいいだ…。勝手な事言いやがって。って怒りたくなったが、酒が入ってるから…と思い我慢した。


でも、ちょっとイタズラしたくなってスマホで動画を撮ろうと録画ボタンを押した時だった。


ピコン♪


「え?この音…」


まさか、さっきのキスを動画に撮られてるとは思わなかった。皆んな考えることは同じってことか。


目の前ではIORIが西條の腰と頭に手を回し抱きしめるようにして貪るようなキスをしている。沙希のリクエスト通り、まさに濃厚な大人のキスだ。


一度離れたかと思ったら角度を変えてまたキスをしている。IORIが西條の口腔に舌を差し込み、絡めたり吸ったりしている音がやたらと大きく聞こえるがわざとだろう。見ているこっちが恥ずかしくなってくる程。西條をよく見ると蕩けた顔をしている。

なんだかこっちまでキスされている気分になってゾクっとした快感が走った。


沙希もあまりの濃厚さに両手で口を押さえ、食い入るように見ている。


なんだか永遠に思える時間はIORIの「はい、終わり」と言う声と共に突然終わった。


IORIが舌で自分の唇を舐めてるのを見て、さっきのキスを思い起こさせゾクっとした。色気がダダ漏れていて、さすがモデルだ。


目の前で沙希は興奮冷めやらぬといった感じでキャーキャー言っている。

どうやら満足したようだ。


動画を保存し、スマホの画面を見ると23時を過ぎていた。

明日も番組があるし、この辺りでお開きにしようと店をでたところで解散になった。


IORIと沙希を見送り、西條に挨拶をして帰ろうと思った時…。通りの向こうに見なれた二人組を見つけドキッとした。

その二人組は真っ直ぐこちらに歩いてくる。


「え?どうしてここに久保さんが…?それに横川さんまで」


「瀬田くん、お疲れ様。さっきまで陸也と飲んでたんだけど、陸也のスマホに動画が送られてきてね。それを見た途端、迎えに行くって聞かなくて」


そう言いながら笑う横川はどこか楽しそうで、久保に見せてあげたら?って言いながら久保のスマホを覗き込んでいる。


「瀬田、これどういうこと?」


見せられたのはさっきIORIとキスをしている動画だった。

出所がすぐに分かり横にいる西條を睨むが、楽しそうに笑って俺が怒っているのがわかると横川の後ろに隠れてまだ笑っている。


「久保さん、それは後で説明するからちょっと待ってもらっていい?」


久保を睨んで牽制すると、自分のスマホのカメラロールから目的のものを表示させた。


「横川さん、いいものあるんですけど見ます?」


「…あっ、瀬田!ダメ!」


この流れで何を見せられるのか分かったのだろう。横川の後ろに隠れていた西條が慌てて止めようとこっちへ手を伸ばすが、横川に捕まれ久保の方に引き渡される。


「陸也、ちょっとこっち来れないように西條抱きしめておいて」


「了解」


ジタバタと暴れて逃げようとする西條を横目に、さっきIORIにキスをされてとろんとしている動画を横川に見せた。


「瀬田くん、それ後で俺のスマホに送って貰えるかな。さて、西條こっちおいで。帰るよ」


笑顔の横川に連れ去られていく西條の背中に「お疲れ様」と声をかけ、帰ろうと向きを変えたら久保に抱きしめられた。


「瑞樹、説明してくれるんだよね?」


久保に耳元で囁かれるとどうしてもスイッチが入ってしまい、尾骶骨から背骨に沿ってゾクっとした快感が走る。


「説明も何も、動画みたんだろ?」


久保の胸に顔を埋め、ぶっきらぼうに答えるが久保はさらに追い討ちをかけてくる。


「瑞樹は恋人以外の人とキスするような子なんだ」


なおも耳元で囁かれ、久保の服をギュッと掴んで顔を逸らす。


「ここで瑞樹からキスしてくれたらさっきの動画は見なかったことにしてあげるんだけど」


無茶な要求だと思ったが、2月の下旬。しかも夜遅くの外気はどんどん体温を奪っていく。酒が入っているとはいえ寒く感じ、早く帰りたい気持ちが勝った。


抱きしめている久保からモゾモゾと動いて両腕を自由にすると、久保の首に絡め背伸びをする。


「チュッ」


触れるだけのキスだったが久保はびっくりしたようでポカーンとした顔をしている。

いつもなら俺が嫌がって怒るから、まさかキスされるとは思わなかったのだろう。


「ほら、帰るよ」


そう言って立ち尽くしている久保を置いて家に向かって歩き出した。





「昨日はお疲れ様」


IORIがスタジオに顔を見せると、俺と西條がいるテーブルの空いてる席に座った。


「昨日はお疲れ様でした。沙希ちゃん送ってもらってありがとうございました」


かなり酔っ払っていた沙希が心配だったので、自宅の方向が一緒のIORIに送ってくれるようお願いしたのを思い出し、お礼を伝えた。


「ねぇ、西條くんどうしたの?」


机に突っ伏している西條を見て不思議に思ったのか俺に聞いてくる。流石に「あの後、西條は横川にお仕置きされました」なんて言えるわけもなく「まだ酒が残ってるみたいで」と適当に濁しておいた。


「ふ〜ん。あっ、そうだ。さっきエレベーターで久保くんと一緒になったんだけど、“瀬田と間接キス“って言ってキスされたよ」


「はい?」


意味わかんないよね〜って笑っているが、こっちは久保との関係がバレていないか心臓がバクバクと煩い。


これ以上何か言って話しを長引かせるのは危険だと判断して黙殺することにした。


昨日、俺からキスさせておいて自分はIORIにキスするってどう言う事だよ。見なかったことにするって言ったくせに、家に帰ってからも散々イタズラしてくるし…。今日、帰ったら絶対に怒ると決め、大きな溜息を吐いた。


なんだかんだ、一番得したのってあの二人だよな…。

IORIって男もいけるの?って書いてて思いましたけど…どうなんだろう…?


結局、最後は横川と久保に全て持っていかれちゃう西條と瀬田。

でも、仲が良い証拠と言うことで♪

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