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ラジオの裏側で(完結済)  作者: ユズ
ラジオの裏側で 〜特番〜
31/39

2゜〜クリスマスの贈り物〜

瀬田と久保のクリスマスのお話しです♪

クリスマスの話しは書くつもりなかったんですけど…やっぱり書きたくなって書いちゃいました(笑)


二時間ほどで書いたので短めですが、読んでほっこりしていただけると嬉しいです!

「お疲れ様〜!クリスマス終わった〜」


挨拶と同時に力尽き、ディレクター席で突っ伏した。


24日、25日とクリスマスソングばかりの番組が無事に終わった。

もう来年までクリスマスソングを聴かなくて良いと思うと、幾分か気が楽になった。

特に今日は25日ということで、だんだんとかける楽曲もなくなってベタなクリスマスソングばかりになっていた。だから余計にそう感じるのかもしれない。


「瀬田さん、お疲れですね」


声をかけてきたのは番組ミキサーの沙希だ。沙希もこの2日間クリスマスソング祭りだったのに俺と違ってご機嫌だ。


「もう、クリスマスソングはお腹いっぱい。来年まで聴きたくない」


「私は楽しかったですけどね」


突っ伏したまま顔だけ沙希に向けて返事をすると、可愛く笑った顔が見えちょっと癒される。


「沙希ちゃんはこの後クリパでもするの?」


「友達と集まってプレゼント交換するんですよ♪瀬田さんは?」


「俺は特に予定はないな。番組はイベント事なら全部拾うけど、プライベートではあんまり」


「そうなんですか?あっ、この後ケーキ受け取りに行かないといけないので、もう帰りますね。お疲れ様でした」


楽しそうな沙希を見送って未だ突っ伏したまま大きなため息を吐いた。


ここでぼーっとしていてもアレだし、片付けて編成部戻るか。そう決めて荷物を纏めたところでスマホにメッセージが来ていることに気づきタップすると久保からだった。


『今日の番組後って予定ある?無ければ俺が終わるまで局で待ってて』


何かあるのかな…と思いつつ、特に予定もないので『了解。編成部にいると思うから』と返信してスマホをポケットに突っ込み荷物を持ってスタジオをあとにした。




「うわっ、来たなら声かけてくれたらよかったのに」


イヤホンをして曲を聴きながら原稿を書いていたので、向かいの席に久保が来ていたことに気付くのが遅れてビックリした。


「真剣な瀬田も良いなって思って見てた」


頬杖をついて満面の笑みで恥ずかしいことを言ってくる久保を無視して、書きかけの原稿を保存してPCの電源を落とす。


「で、今日この後何かあるの?」


「たまには一緒にご飯食べるのもいいかなって」


今日はクリスマス当日だ。どこのお店も予約で一杯だと思うが、話しを聞くと家飲みしようってことみたい。


「じゃあ、コンビニ寄って帰る?たまには久保さんの家でいい?」


久保は瀬田の家に入り浸っている事が多くて、いつ自分の家に帰ってるのか不思議になる。なので、たまには久保の家に行くのもいいだろ。


荷物を片付け、リュックを背負った。




「瀬田、ケーキ売ってるぞ。さすがクリスマス。こんな小さいホールケーキあるんだな」


久保が見てる先を見ると直径9センチの小さなホールケーキが売っていた。

小さいがちゃんとサンタが飾り付けられていて、いかにもクリスマスといった可愛らしいケーキに、もうクリスマスはいいやと思っていたが、テンションが上がる。


横を見るとニヤニヤとしてる久保がいて、照れ隠しにプイッと顔を逸らすと笑われてしまった。


「じゃあ、これ買って帰るか。あとチキンと…何か冷凍のつまめるものと…酒か。泡系欲しいよな」


そう言いながらケーキを持って酒コーナーの方へ歩いて行く久保の後を追った。




テーブルの上に買ってきたものを並べると一気にクリスマスの雰囲気になる。


「凄いな、コンビニで全部揃うし、ちゃんとクリスマスって感じでてるな」


キッチンから食器を持ってきた久保が感心したようにテーブルを見ている。


「やっぱりケーキがあると雰囲気でるね」


「買ってよかったな」


久保が優しい笑顔でこっちを見てくるのがなんだかくすぐったい。急にそんな笑顔、ズルい…。


照れ臭くて俯いて誤魔化すけど、多分バレバレだ。それに、恥ずかしくて赤くなった顔を見られてると思う。


もう付き合って結構経つのに、未だに久保の笑顔に慣れない自分がいる。


「…やっぱり好きだな」


「うん?なんか言ったか?」


ボソッと呟いた言葉はどうやら久保には聞こえてなかったみたいでほっと胸を撫で下ろした。


「まだご飯食べてないけど…まぁ、いいか。瀬田、こっち向いて」


「へぇ?」


「はい、あ〜ん」


声がした方を向くと、久保がフォークでケーキを少し掬って差し出してきたので、大人しく口を開けて食べさせてもらう。


「ハハッ。かわいいなぁ〜。瀬田、顔真っ赤」


「恥ずかしいんだからしょうがないだろ」


言われなくてもわかってる。顔が熱いし、心臓がバクバクいってるから。

こうやって久保が甘やかしてくると普段の自分を保てなくてどうも調子が狂うけど、でも…なんか居心地がよくて安心できる。


「それよりもケーキは後にして、他食べようよ」


そう言ってさっさと席に着くと、久保がスパークリングワインの栓を抜いてグラスに注いでくれる。


「とりあえず乾杯するか。うーん…。クリスマス番組お疲れ様でした?」


「なんだよ、それ。まぁ、なんでもいいや。お疲れ様!」


「お疲れ様ー」




「あ〜、お腹いっぱい。食べ過ぎた…」


テーブルの上を見るとあらかた空になっている。ケーキは久保が「かわいい」って言いながら食べさせてくるから、お返しに食べさせてあげるとすごく嬉しそうにしてくれるのが面白くて、あっという間になくなった。


久保が「ちょっと待ってて」って階段を上がって行ったけど…。


「瀬田、ちょっと目閉じててよ」


上から顔だけ覗かせた久保がこっちに向かってそう言うが、素直に従っていいものか…。


「早く!」


「わかったよ!」


諦めて目を閉じると、久保が階段を降りてくる音がする。


フワッと久保の匂いがするのを感じて目の前まで来たことは分かるけど…まだ目を開けちゃダメなのかな。

そう思ったとき、首に何か柔らかいものが掛けられた。


「え?」


「俺からのクリスマスプレゼント」


思わず目を開けると優しい笑顔の久保がいて、嬉しさのあまり涙が出そうになる。


「すごく嬉しい!嬉しい…けど…」


「けど?」


「俺、何にも用意してない…」


いつもそうだ。久保がなんでも気を遣ってくれるから受け取るばっかりになってて、俺から何かしたことって…。

不甲斐なくてまともに久保の顔を見る事が出来ず下を向いた。


「瑞樹」


名前を呼ばれると同時にギュッと抱きしめられる。久保の体温とギュッとされる力にホッとして、さらに涙腺が緩む。


「俺は瑞樹が笑ったり怒ったりしてるのを見ているだけで幸せになるよ。毎回プレゼントを貰ってると思ってる。だから、俺がたくさん貰ってる分をこういう時に少しでも返せればって思っただけ。いつもありがとうな」


頬にチュッとキスして離れる久保の体温が名残惜しくて、思わず久保の服の袖を掴んでいた。


「あ〜ぁ…俺、泣かせちゃったな」


「久保さんのせいで、どんどん涙腺緩くなってくんだけど…」


「ごめん、ごめん」


久保の嬉しそうな顔に自分も嬉しくなるのと同時に、ちょっと仕返ししたい気持ちも膨らんできて何かないかな?と必死になって考えるが…。


「久保さん、ちょっとしゃがんでもらっていい?」


こう言う時、身長差があり過ぎるのも考え物だなと思うがこればっかりはしょうがない。


大きく深呼吸をしてから、しゃがんでくれた久保の耳元に顔を寄せる。


「プレゼントありがとう。すごく嬉しかった。……大好きだよ…陸也さん」


「えっ?ちょっと…瑞樹? 今のもう一回!」


言うだけ言って、久保に背を向ける。

言いなれてないことを言ったせいで真っ赤になってる顔を見られたくなかった。


でも久保の驚いた顔を見てみたい気もする…そう思って振り返ろうとした時、後ろからガバッと抱きしめられた。


「瑞樹、ありがとう。最高のクリスマスプレゼントだよ」

そういえば瀬田って久保のこと名前で呼んだことないな…と思ったことがキッカケで書いてみました。


もう片方の二人も似たような感じですが、あっちはどうなんだろう…(笑)

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