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ラジオの裏側で(完結済)  作者: ユズ
ラジオの裏側で
21/39

17゜

最終話です!


本日、2話更新していますので「17゜」を読んでいない方は1つ前の話からどうぞ。

久しぶりに瀬田といつもの餃子屋へ来た。なんの悩みもなく、ただ楽しむためにご飯を食べに来るなんていつぶりだろう…。


店内は相変わらず混んでいたが、タイミングよく席が空いてよかった。


「俺の日頃の行いがいいからかな」


瀬田が目の前で訳のわからないことを言ってるが、それをさらっと流してとりあえずドリンクと餃子を注文した。


「なんかスッキリした顔してるけど?」


「へ?」


急に脈略もなく振られた言葉が理解できなくて、何も考えずに反射的に聞き返していた。

でも、目の前でニヤニヤしている瀬田を見ると嫌な予感しかしない…。


「横川さんと付き合えるようになった…とか?」


「なんで…分かるんだ?」


「なんで…って、もしかして自覚がない?西條ってかなり分かりやすいぞ」


「マジで…?」


「嘘言ってどうするんだよ。でも、よかったな」


ほんと瀬田は勘がいい…と思ったが、分かり易かっただけらしい。

まぁ、そうか…。だから過去、久保にもイジられた訳だしな。


「瀬田には色々とご迷惑をおかけしました」


「ほんとだよ。で、付き合ってからした?」


「…ちょっと、急になにぶっ込んでくるんだよ」


まだドリンクが来る前で良かった。飲んでたら確実に吹き出していた…。


「だって、仕事中の横川さんからはどんなふうにするのかって想像できないから興味が湧いてさ」


「興味って…。まぁ、でも…久保さんとかだったら簡単に想像出来そうだよな。先輩はそういう雰囲気一切出さないから…って、いくら瀬田でもそんなことは話さないぞ」


「えーっ。つまんないの」


可愛い顔をして口を尖らせ拗ねた表情を見せる瀬田に、心の中で大きなため息を吐く。


「つまんないのって…。て言うか、よく酒も入ってないのにそんな事話題にできるな。瀬田のその神経が凄いよ」


「そう?ありがと」


悪びれる事なく笑っている瀬田を見て、瀬田と付き合う相手は大変だろうなって思ったことは内緒にしておこう。



「あっ、そうそう、瀬田って今週の日曜の夜って空いてる?」


「え?朝の番組終わって、月曜の仕込みも終われば空くけど。なんかあるのか?」


今日は瀬田とご飯を食べることだけが目的だったが、聞かないといけないことを思い出して、忘れないうちにと話の流れに関係なく口から質問が出ていた。


急に話題が変わったからか、瀬田が不思議そうにこっちを見て首を傾げている。


「瀬田と久保さんには色々と迷惑をかけたから、先輩の家で4人で飲まないか?ってなって。久保さんの方は先輩が聞いて空いてるって返事もらったから」


「そんなの気にしなくていいのに。でも、そう言うことなら喜んで」


「後で先輩の家の住所送っとくな」


「了解」




ピンポーン


「あっ、来たかな?俺出ますね」


「いらっしゃい。ってあれ?2人一緒に来たんだ?」


「下で一緒になっただけ」


「そうなんだ。それより入って入って。もう準備できてるから」



「おっ、今日はタコパなんだ」


「やっぱ人数集まったらタコパでしょ」


テーブルの上にセットされているホットプレートを見て、瀬田のテンションが上がってる。

目を輝かせて全身で喜びを表してる瀬田が可愛く見えて思わずキュンとしてしまった。

瀬田に対してキュンとしてどうするんだよって感じだけど…。


「そうそう、他の料理は全部先輩の手作りだから。さっき味見させてもらったけど、めっちゃ美味しかった」


「優斗、最初はやっぱビール?」


そう言って冷蔵庫を漁ってる久保が何か見つけたのか、嬉しそうな声が聞こえてきた。


「おっ、“作”に“空”まであるじゃん。ビール控えよっと」


「さて、始めますか。瀬田くんも陸也も色々とありがとう。今日は思う存分食べて飲んで楽しんで」


「かんぱーい」


早速瀬田がたこ焼きを作り出したのはいいけど、こんな不器用だったのにはビックリした。

全くひっくり返せなくて悪戦苦闘しているので、見てられなくて思わずピックを奪い取ってしまった。


「あっ、西條、横取りすんなよ」


目の前で不貞腐れた顔をしているが、このままでは焦げてしまうからしょうがない。


隣では横川と久保がツマミを食べながらひたすら飲んでる。

結構なハイペースで飲んでるけど大丈夫なのかな…。


家飲みだからか、なんだかいつもより柔らかい空気が流れてて思わず笑みがこぼれた。


少し前までは4人で集まってこんな楽しい時間が過ごせるなんて想像もできなかった。


「瀬田、色々とありがとうな」


「なんだよ、改まって。俺は何にもしてないよ。西條が頑張った結果、こうなったんだよ」


「それでも、ちゃんとお礼を言いたかったんだ。それよりも、先輩と久保さん、かなり飲んでるけど大丈夫かな…」


「あぁ、あの二人はザルだから放っておいて大丈夫。一日中飲んでても酔わないから。俺も結構飲める方だと思ってたけど、あの二人には敵わない自信がある…」


マジか…。確かによく見ると見た目は全く変わってない。


「それにしても、瀬田って先輩と久保さんのことよく知ってるよね」


あれ?なんか言っちゃいけないこと言った?目の前で眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をしてるけど…。


「…まぁ、一緒に仕事して結構経つから」


「ん?どうした?」


「瀬田に先輩と久保さんのことよく知ってるねって言ったらこんな顔になった」


「ははっ。瀬田、もういいんじゃないか?バラしても」


「へ?」


バラす?目の前で瀬田はあからさまに嫌そうな顔をしてるのとは反対に、久保はかなりご機嫌だ。


「ほら、そんな顔してないでこっち向いて」


久保の方を見ない瀬田の耳元で何か囁いたと思ったら、顔を真っ赤にした瀬田にキスしているのを見て目の前で起きている事が理解できずに固まってしまった。


「え?」


「陸也と瀬田くん付き合ってるから」


「は?」


「結構分かりやすかったと思うんだけど全然気付く気配ないからいつ気付くかなって」


「マジか…」


隣を見ると横川が笑っているが、知っていたなら教えてくれたら良かったのに。そう思い横川に目で訴えたが視線を逸らされただけだった。


「これで西條の前でもイチャイチャできるな」


「だからバレたく無かったんだよ…」


久保がニヤっと笑っているが、その横で瀬田がずっと嫌そうな顔をしているのが面白くて気づいたら笑っていた。


隣を見ると横川と目が合った。なんだかそれだけで幸せな気持ちになる。


「先輩、俺たちもあのぐらい仲良くなりましょうね」

一応、完結です!

最後まで読んでくださった皆様、どうもありがとうございます!


まだまだこの2人で書きたいエピソードがありますので、おいおい更新していこうと思っています。


次からは久保と瀬田の番外編「ラジオの裏側で 裏送り」をUPしていきます。

こちらは短めなので4話ぐらい?で終わる予定です。

(R18シーンが多くて、その部分を削ると表でUP出来る範囲が短くなってしまって…)


まだまだお付き合いして頂けると嬉しいです♪

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