表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの世界に召喚された!?~記憶を無くしている間に推しキャラに溺愛されていました~  作者: 朝比奈 呈
♠番外編♠少女漫画の世界に転生しましたが、悪役令嬢はごめんです(ユノ目線の話です)本編の色々暴話話
91/126

9話・ヒロインはまだ現れない



「それにしても変じゃない?」


「別に変じゃないよ。ユノはいつでも可愛い」


「ありがとうって、そうじゃなくて……」


「あ、曲が始まる。ユノ、一曲、お手をどうぞ」



 私が疑問を口に出す前に、フィルマンは手を引いた。スローな音楽が流れ始めると、周囲の人達も中央に集まってきた。男女、一組になって踊り出す。



「俺、この日がくるのを、首を長くして待っていた」


「大袈裟ね」


「そんなことないよ。俺、ユノと踊るのが楽しみで、絶対ファーストダンスはユノと決めていたから、今まで他の女性達と踊ったこともなくてさ。だから下手クソかも知れない。ごめん」


「私も今日が初めてよ。気にしなくても良いと思うけど……?」



 ハッキリ言って私もダンスは不慣れだ。領地暮らしで踊る機会なんて早々ないし、一応、レッスンは受けて来たけど、指導する先生もざっくりしていて「男性のリードにお任せすれば何も問題ありません」と、言っていた。でもさ、男性が旨く踊れない場合はどうするの?

 ノルベールは初めて踊ると言いながらも、そつなくこなし、私をリードしてくれたので何も問題なかった。



「ノルベールって凄いのね。踊りやすかった」


「そうか? これでもめちゃくちゃ緊張している」



 二曲ほど踊った後は、壁の方によって二人で給仕からドリンクをもらい休憩することにした。視界にクルクルと回る二人組が目に入る。

 フィルマンとエリサ嬢だった。二人は優雅に身を逸らしながら大きく旋回して踊っていた。二人の息はピッタリあっているように感じられた。彼女のドレスがクルクルと、花開くように広がっていくのが美しい。


 思わず見とれてしまった。周囲の人達も二人から目が離せないようだ。ダンスが終わると拍手が起こり、私も手が痛くなるまで叩き続けた。友人としてフィルマンのお相手には素直に祝福できないものがあるけど、今のダンスは素晴らしかった。


 漫画の中では、フィルマンの婚約者となった私が、彼と踊って皆から賞賛を得ていたけど、私はノルベール推しだから全然気にしない。

 でも友人として、フィルマンのお相手が気になった。エリサ嬢は王子の許婚に選出されるぐらいだから、能力はある人だとは思う。



──でも、それでフィルマンは良いの?



 あのエリサ嬢と、彼はダンスでは気が合う様子を見せたけど。何か違うような気がする。彼にはもっとふんわりした優しげな女性が合うと思うのに。


 漫画ではサクラと名乗る異世界人が現れて、彼はどんどんのめり込み、許婚者を試みなくなる。そしてサクラをその婚約者が虐めたのを理由に、婚約破棄して許婚を修道院へと追いやるのだ。


 私がストーリーとは違う相手を選択したせいか、悪役令嬢の役割がエリサ嬢に移ったような気がしないでもないが、今のところヒロインは現れていないし、このまま何事もなくエリサ嬢とフィルマンは結ばれるのかな? なんて思いながら帰途に着き、領地について3ヶ月ほどが過ぎた頃。フィルマンはやらかした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ