表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの世界に召喚された!?~記憶を無くしている間に推しキャラに溺愛されていました~  作者: 朝比奈 呈
♠番外編♠少女漫画の世界に転生しましたが、悪役令嬢はごめんです(ユノ目線の話です)本編の色々暴話話
84/126

2話・わたしの知る王子はやばい人



「わたしのことはユノとよんで」


「ユノか。よろしくな。ユノはフィルのおよめさんこうほとして、きたんじゃないのか?」


「そうだけど。べつにのぞんでいないわ」



 お見合い相手のいる前で、正直に話すのは失礼かと思ったけど、私はノルベールと親しくなりたくて仕方なかった。前世の記憶を取り戻す前の私も、王子さまと結婚なんて望んでいなかったし、出来ることなら亡くなった母のように、想い合った相手と結婚したいと思っていた。


「そうか。ぼくとおなじだね」


 王子もポツリと言った。もしかして拒否されて傷ついた? と、思ったけど、ノルベールに「さんにん、なかよくやろうぜ」と、肩を組まれて笑顔になっていた。



 それから王宮に数日滞在となり、部屋を訪ねて来た王子やノルベールと仲良く遊んだ。その時には優しい王妃さまが同行していて、あの傲慢な王がいなくてホッとした。王妃さまはお祖母さまと気が合うようで、何度もお部屋を訪れては、王子やノルベールと会わせてくれていた。


 王宮の滞在中は楽しすぎて、二人と別れるのは寂しくて泣いてしまったくらいだ。「またあえるから」と、慰める王子の隣で「なくなよ」と、ノルベールが焦っていたのが可笑しかった。

それでも別れ際には、ノルベールが「てがみをかくよ」と言ってくれて、そこから二人の文通が始まった。


 ノルベールに手紙を書くときは、どんな事を書こうかと頭を悩ませ、返事が来るまで気がそぞろになった。返事が届いた時には嬉しすぎてその場で小躍りして、お祖母さまには呆れられた。

 手紙には自分の身の回りのことや、親友フィルマン王子のことが書かれていた。ノルベールは、甲斐甲斐しく王子の世話を焼いているようで、二人の仲の良さが感じられる文面には焼きもちを妬いた。その場にいられない自分が寂しかった。



 それでも年に一回、王宮に登城する機会があり、その度に二人と再会した。彼らは年々、あどけない顔立ちが凜々しくなり、一緒にいる私の気が引けるくらいに、王宮の若い女官達の視線を集めていた。


「ユノはますます綺麗になっていくな」


 ノルベールにそう言われる度に内心、それはあなたですと返したくなる。その様子を傍から見ているフィルマン王子は意味深に微笑むから怖い。


 小説の中のフィルマン王子は結構、やばい人だった。だから今生では、彼にはなるべく近づかないようにしようと思っていても、周囲の思惑や、私の推しであるノルベールの親友という立ち位置から、いつもノルベールの側にいる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ