表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの世界に召喚された!?~記憶を無くしている間に推しキャラに溺愛されていました~  作者: 朝比奈 呈
♠番外編♠少女漫画の世界に転生しましたが、悪役令嬢はごめんです(ユノ目線の話です)本編の色々暴話話
83/126

1話・異世界転生してました



 ここがある恋愛漫画の世界だと気が付いたのは、私ユノがお祖母さまに手を引かれて王宮に連れられてきた時の事だった。当時の私は7歳。

 始めて見る王宮の大きさと優美さに圧倒されながら、案内の女官に先導されて謁見の間へと進む。そこにはこの国の王と、第1王子がいた。


 第1王子フィルマンは、王家特有のプラチナブロンドに、青い瞳を持つ10歳の少年で、そんな彼を老けさせて傲慢にした感じの太々しい中年男性が王だった。その場には美しい王妃さまがいて、その王妃さまに促されて王子と庭に出ることになった。


 そこで王子から、天才魔術師ノルベールと引き合わされた時に、ある記憶を思い出した。きっかけはノルベールには、前世の記憶があると教えられた時。


「前世」と、いう言葉と「ノルベール」、「フィルマン」と、いう名前に聞き覚えが有り、どこで耳にしたのだったかと記憶をたぐり寄せていくうちに、自分も前世を思い出した。


 社会人一年生で、慣れない仕事に振り回されて、毎日疲れ切っていた。その自分の娯楽が漫画で、当時夢中になって読んでいた漫画が「ペアーフィールドにようこそ」だった。ある日、その最新刊が売り出されると聞き、本屋に向かう途中、信号機待ちでよそ見運転した車に衝突された──までは、覚えているので、そこで亡くなったのだろう。


 それにしても、こんな偶然あるんだ。と、呆けてしまった。だって目の前に、あんなに夢中になって読んでいた、漫画の登場人物達が目の前にいるのだもの。わたしはノルベール推しだった。ノルベールが子供になっている。可愛い。ってわたしは7歳か。あはは。


 しかし、ユノも登場人物じゃ無かったっけ? と、記憶を探って絶望した。



──わたし、悪役令嬢だった。ガーーーーーン!!



 ユノは主人公サクラを虐める側。サクラに対し、「本当に異世界人ですの?」「そんなにも男を侍らすなんて、異世界人は品が無いのね」と、馬鹿にしていた。サクラは普通に可愛い子だし、良い子なのに。

 そしてお約束のように、サクラが第1王子と結ばれると、断罪されて修道院行きになる。


 そんな悪役になっているなんて最悪。絶対、私ヒロインを虐めないんだからと肉体年齢7歳で誓った。中身は7歳の現在の記憶に、22歳の前世の記憶がプラスされた状態。ざっくばらんに言えば合わせて29歳というところか。アラサーだな。

 気が遠くなりそうな所に、王子さまから声がかかった。


「だいじょうぶ? きにしなくてもいいよ。きょうはただのかおあわせだから」


「おきになさらず」



 王子さまは、私が王家から持ちかけられた婚約話に気乗りしないことを、早くに察していたようだ。だって本命が目の前にいるからね。



「おれのこと、きみわるくおもわない?」


「どうして? ぜんせのきおくもちってすてきじゃない?」



 王子に自分の秘密をばらされたせいか、ノルベールは、こちらの反応を窺いながら聞いてきた。この国では蒼天教が国教と定められている。蒼天教では人は皆死んだら蒼空の国へいくと信じられているので、転生した等と言えば異端と見なされる。それを彼は恐れているようだった。もしかしたらすでに誰かに話して、馬鹿にされたのかも知れない。


「おまえ、かわっているな。フィルとおなじだ」


 フィルと言うのは、フィルマン王子のことらしい。愛称で呼ぶほど彼に気を許しているのが分かった。彼は前世の記憶持ちだということを、今まで王子しか認めてくれる人がいなかったのだと言い、「おまえで二人目だ」と、破顔した。それがとても眩しく感じられ、不覚にもときめいてしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ