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62話・盗聴道具を仕込んでいました



「潜伏していたわけでは無い。幼い頃に母が亡くなった後、先代の神父に拾われて孤児院で保護されていた」


「その先代の神父の後を継ぐ形で神父に?」


「いや。違う。先代神父さまが老衰で亡くなられて、その後にやってきた神父が最悪な奴だった。子供達を嫌らしい目つきで見て、妹のように思っていた奴が閨に引き込まれようとしたから、その際にそれを阻止しようとして、誤って殺してしまった。そこで今まで彼に成りすましてきたんだ」


「なるほどね。そこからきみが神父ホドリーとなった」


「俺のしたことは許されることじゃないのは分かっている。でも、神職者であるのに孤児を性的にいたぶるのは許せなかった」


「僕もそこは許せないと思う。その件に関しては考慮しよう。ところできみはどこからサクラのことを知った?」


「それは……」



 フォリーは言い淀んだが、あっさり口を割った。自分でも驚くくらいに口は軽かった。



「陛下の耳に、俺の手の者を忍び込ませている。そこで王宮魔術師長が陛下に、異世界召喚の許可を求めてきたのを聞いたらしい」


「でもそれだけでは彼女の名前すら知らなかったはずだが?」


「その後は王宮魔術師長の研究室に忍び込み、盗聴道具を仕込んでいた」


「盗聴道具? 私達の会話をそれで聞いていたというのか?」


 平静だったフィルマンの表情が崩れる。それを見てフォリーは得意顔になった。



「王宮魔術師長さまは、あの日浮かれていた。難解な古書の異世界召喚術について解読出来たことで、いの一番に知らせようとあんたを呼びに行った。そこで聞いたんだ。あんたの口から色々とな」


「その盗聴道具はどこにある? 今も仕掛けたままか?」


 フィルマンは、美眉を潜めた。



「時報を告げるカラクリ鳥に仕掛けていた。もう、回収してある。今更探しても無駄だ」


「まさかおまえ達、ドアの仕組みにも気が付いて……?」


「ああ。転移ドアか? あれは便利だよな。一回、使わせてもらおうとしたが弾かれた。さすがは最強魔術師さまだよ。転移ドアには認識されていない者は通れない仕組みになっていたらしい。見事に弾かれた」


 フィルマンは安堵の息を漏らしたように、フォリーには感じられたが、追及が収まる事は無かった。



「それでノルベールが異世界召喚をすると分かり、邪魔したのか?」


「もともと異世界には興味があった。あんたが気になっている女性というのも気になったし、横から奪ってやるのも一興だと思っていた」



 そう言いながらも、フォリーはどうして本心を明け透けにフィルマンに語ってしまうのかと、自分の意思と反する口に戸惑いが出て来た。



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