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61話・屑な先王と、腹黒い王兄



「亡き先王陛下はね、あいつは結構屑だ」


「あんた……!」



 フィルマンは忌々しいと顔を顰めた。フォリーは、彼は心優しい人物だと聞いていた。その彼がまさか実の父親を悪く言うとは思いもしなかった。



「きみたちは知らないだろうが、あいつは表向き善人を気取っていたが、結構女癖が悪くてね、母や王太后陛下はそれに泣かされてきた。しかも、厄介なことに本人にとっては、妻以外の女性は単なる欲求解消であり、そこに大した意味は無い。それで万が一、避妊に失敗して望まれぬ子供が出来た場合、あいつはどうしてきたと思う?」


「さあ?」


「母子とも斬って捨てていたよ。あいつにとっては、望まぬ妊娠をした女は虫けら同然の扱いだった。騎士達にその遺体の処分を良く任せていた。西離宮に王太后陛下がお住まいなのはどうしてか知っているかい?」



 フォリーは、フィルマンの豹変ぶりについて行けなかった。彼としては自分が腹違いの兄弟と知り、フィルマンが今まで済まなかったと頭を下げてくるのを見て、溜飲を下げる気でいた。それが期待外れに終わってしまった。



「きみが知るはず無いよね? 教えてあげよう。あそこの裏山には、陛下が自ら切り捨てた女性達が眠っている。王太后陛下はお優しい御方だ。その報われなかった女性達の為に、お祈りを捧げていらしたのさ」


 フォリーは、自分の知らなかった真実を聞かされて青ざめた。フィルマンは狡猾に微笑む。



「きみは王太后陛下に感謝すべきだよ。王太后陛下がきみの母親の妊娠にいち早く気が付き、追い出してくれたことで命を救ってくれたのに、そこに感謝もなく、のこのこと逆恨みして現れるとはね」


「煩い」


「短気は損気だよ。義弟くん」


「あんたは結構、腹黒いな」


「ありがとう。僕への賞賛として受け取るよ」



 フィルマンはフォリーを可笑しそうに見る。品行方正で知られている彼の、知られざる一面に触れたフォリーは、今後の自分が不安になってきた。



「で、何で僕の領地に神父としていたの? いつから潜伏していたのかな?」



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