51話・腹が立ちました
「そう言えば、あなたのような年頃の女性に聞いてみたいと思っていたのだけど、嫁と姑というものは相容れない仲だと言われているけど、あなたならどう思う?」
「わたしはまだ結婚していないので、そういったご質問はよく分からないです」
突然そんなことを聞かれても困る。わたしは未婚者だ。そういった質問は、既婚者に利いてみたらどうでしょう? と、答えたら王太后陛下は、想像してみて欲しいと言ってきた。
「そう? でも、考えてみて。もしもあなたがこの先、結婚したとして、お姑さんと仲良くしたいと思う?」
「まだ結婚していないので答えようが無いですが、もしも、わたしが結婚したのなら、旦那さまのお母さまになる御方とは波風立てることなく、仲良くやって行きたいとは思います」
「理想論ね。現実はそう甘くないわよ。世代が違う者同士だから、初めは猫を被って相手のお母さまに良く思われたとしても、そのうちその皮は剥がれて、諍いが始まるわ。あなたって駄目ね。そのようなことも分からないの?」
王太后陛下は、人に意見を求めておきながら、貶すような言い方をするので苛立つ。
「ではどうしろと?」
「簡単なことよ。姑を立てればいいのよ」
イラッときたので、その思いをぶつけるように聞けば、さらりと答えが返ってきた。
「姑を立てる? では王太后陛下は、先の王太后陛下さまを立てて入らしたのですね?」
「あ。え、まあ……、そうよ」
わたしに言い返されるとは思わなかったのだろう。王太后陛下は言い淀んだ。
「でも、先の王太后陛下さまは、お優しい御方だったとヴィオラ夫人からは窺っております。その為、王太后陛下に口うるさく物申すことは、されなかったのではないですか?」
理想のお姑さまだったのでしょうねと言えば、王太后陛下は、ハッとした様子を見せた。ヴィオラ夫人からは、亡くなった先の王太后陛下と親しくしていた頃の話を良く聞かされていた。




