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41話・彼を誤解していました


 その日わたしは、お屋敷の麓の町へと来ていた。ここでは食料品や、衣料品、日用雑貨など定期的に屋敷の使用人達が来て購入しているそうで、この日はたまたま買い出し担当の使用人が腰を痛めて動けなくなり、彼女の代りとして急遽、わたしが来る事になった。


 日用品や、衣装品は取りあえず足りているということで、食料のみ頼まれた。メモ紙に必要なものは書かれている。有り難いことに、わたしはこちらの世界の文字は書けないけど、読むことは出来た。


 ノルベール曰く、それはゲーム機を通して、わたしが自然と学習出来るようにしていたそうだ。そのおかげでこちらの世界に来ても言葉は通じるし、文字も読めるしノルベール様々だ。


 買い物の方は荷馬車の御者兼、荷物持ちとしてロータスが付き添ってくれている。本職は0羽根の騎士でヴィオラさまを守る騎士なのに、このような事で彼を使ってしまって良いのだろうか? と、思うけど、普段こういった仕事をしていたゲッカが不在の為、若い男手が必要な時は、ロータスが請け負うようになっていた。


「どこから行く?」


「そうですね。まずは粉屋さんからお願いします」


 初めは彼に勝手に苦手意識を持っていたけど、フィルマンから彼は0羽根の騎士だと明かされ、彼の父親である王宮騎士団長にお会いしてから、彼に対する信用度は上がった。


 今までの自分は、彼を良く見てなかった。誤解していた。記憶が無くて不安な状態だったのもあるが、愛想が良くて誰にでも人懐こいゲッカと見比べて、勝手に彼を悪く思い避けていた。今思えば失礼な態度だったと思う。


 彼は仕事柄、寡黙に徹していたのだろう。仕事に忠実なことは、王宮騎士達が来た時のことで分かった。あの後、彼はヴィオラ夫人を背に庇い、騎士達の剣を払いのけていたと聞く。


 後日、王宮騎士らの一件で、報告に来ていたノルベールから聞かされた。刺客相手に斬りつけるのは簡単だが、彼は相手を殺さずに生かして捕らえる為に、体の一部を柄で強く叩き付けて相手が身動き取れなくなった隙に、他の使用人達との連携で、縄で縛り上げていたらしい。


 咄嗟の判断でここまで動ける者は、なかなかいないとノルベールは感心していた。ノルベールがいち早く捕縛した王宮騎士達を、騎士団長の前に連れて来られたのは、彼らの活躍があったおかげらしかった。

その話を聞いたこともあり、わたしはすっかりロータスへの警戒を解いていた。


 わたしを迎えに来た王宮騎士達はその後、牢屋に入れられたが、取り調べする前に死んでいたそうだ。牢屋に忍び込んだ不審者はいないそうで、騎士団長は内部犯行を疑っているらしい。




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