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33話・邪魔者は退散しようかしらね



「あら、でも、こうして一瞬で移動出来るドアが作れるのならば、わざわざ馬車で一ヶ月もかけて、ユノさんとサクラメントに来る必要なかったんじゃない?」


「それは……」


「サクラ。その辺はあまり突っ込まないであげて。ノルベール達はとても仲が良い。帰省は二人に取って長期旅行のようなものだよ」



 つまりラブラブな仲だから、一瞬で移動するよりも二人きりの時間を堪能したかったと言うこと?



「事件性に関わる案件などでは一瞬で移動しているから、プライベートくらいは普通に移動したいんだ」


 ノルベールさんは、ため息を漏らした。色々と暗躍してそうだ。


 三人で話していたら、話し声で気付かれたのかヴィオラ夫人が顔を出した。




「ミュゲさん。無事だったのね?」


「ヴィオラさま」


「ロータスに言って、あなたを執務室で匿っていたはずなのに姿が見えなくて心配したのよ」


「ごめんなさい。ノルベールさんに貰った御符のペンダントの力で、ノルベールさんの所まで転移していたんです」


「良かった。何事もなくて」




 ヴィオラ夫人は、執務室にわたしの姿がなかったから攫われたとでも思ったのかも知れない。




「お久しぶりです。ヴィオラ夫人」


「ペアーフィールド卿。あなたがどうしてここに? 婿殿に連れて来られたの?」


「まあ、そんなところです」




 ここではフィルマンは「ペアーフィールド卿」と、呼ばれているらしい。賜った領地名で公には呼ばれているようだ。




「もしかしてミュゲさんをこちらに招くことになったのはあなたが?」


「はい。本当は、彼女は僕のもとに来る予定でした」




 ヴィオラ夫人は、わたしが異世界人だとノルベールから聞いて知っている。そしてある人物の願いを叶える為にわたしを召喚したと言っていたから、何となく察したようだ。




「そうだったの。しばらく彼女はこちらでお預かりしても?」


「はい。よろしくお願い致します」




 フィルマンは、わたしのことをよろしくお願い致しますと頭を下げた。釣られてわたしも頭を下げた。ヴィオラ夫人はわたし達二人の顔を交互に見た後で言った。




「邪魔者は退散しようかしらね」


「あっ。俺も帰るわ。捕まえた奴らの尋問があるから」




 ヴィオラ夫人は手を繋いだままのわたし達を見て、何かを悟った様子で退出していき、ノルベールはドアの向こう側に消えた。この場には二人だけが残った。



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