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27話・やっときみに会えた



 しかも何かがおかしい。




「ノルベールさん、王宮騎士団に捕まったのではないのですか?」


「何だって? 王宮騎士団に俺が捕まる? そんなことあり得ないよ。何の話?」


「お屋敷を訪ねてきた王宮騎士を名乗る人達がそう言っていたんです。ノルベールさんにある疑いがかけられているって。その疑いを晴らすために、わたしに同行しろと。それをヴィオラ夫人が断った為に、騎士達が……!」




 わたしは一刻も早くヴィオラ夫人達を助けて欲しくて、早口で今まで起きた事を説明した。




「お願いです。ヴィオラさま達を助けて」


「こうしてはいられないな。あっちに行ってくる。後は頼むぞ。フィル」


「ああ」




 ノルベールは、慌ただしく研究室のドアを開けて出て行った。わたしは「フィル」と呼ばれた男性と後に残され、彼を見て驚いた。


 彼はプラチナブロンドの髪に、サファイアブルーの美しい瞳をしていた。その端正な顔立ちには見覚えがある。胸が高鳴った。






「フィルマンさま?」


「きみはサクラだね?」


「はい。わたしは桜花です」




 彼に呼びかけると、彼もこちらを探るように聞いてきた。それに頷くと、彼は「良かった」と破顔した。その顔は、彼は30代男性だと言うのに、少し幼く見えた。




「きみにやっと会えた」




 その声音は喜びに溢れている。彼は自分との出会いを喜んでいる感じが見受けられた。




「こちらでは初めましてだね」




 ゲームを通してわたし達は出会っている。そのことだろうと思った。




「サクラメントの助太刀にノルが向かったから、すぐに蹴りがついて戻って来ると思うよ。僕らはこちらで出来るだけのことをしよう」




 そう促されて彼と部屋を出ようとしたところで、彼が手を差し出して来た。




「サクラ。僕にエスコートさせて下さいませんか?」


「エスコートって?」


「手を繋いでもいいかな?」


「え? はい」




 フィルマンの手に自分の手を重ねると、優しく握られた。




「王宮は広いからね。きみが僕からはぐれないように手を繋いでおこう」




 子供扱いされているみたいだが、満面の笑みを向けられると悪い気はしなかった。彼と手を繋ぎ、王宮内を闊歩していると、すれ違った人達が驚いたような顔をして注目してきた。




「さすがはフィルマンさま。皆さんに注目されていますね」


「皆の目など関心はない。僕が今一番、注目して欲しいのはきみだよ」




 彼は他の人が注目している前でも平気で言ってくる。わたしへの好意を隠しもしなかった。フィルマンはゲームの中でも、甘々な言葉をかけてきた。それはゲームでは許せたことでも、実際に本人を目の前にすると、照れくさく思われて堪らなかった。




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