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乙女ゲームの世界に召喚された!?~記憶を無くしている間に推しキャラに溺愛されていました~  作者: 朝比奈 呈
♠番外編♠少女漫画の世界に転生しましたが、悪役令嬢はごめんです(ユノ目線の話です)本編の色々暴話話
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18話・お祖母さまからの手紙


 ノルベールが研究室に帰って、色々と調べた所、召喚術に綻びがみられたらしい。その綻びにはノルベールではない魔術師の触れた形跡があり、どこかに転移の重ねかけがされていて、恐らく本物のさくらはそこに飛ばされたらしいと、帰宅したノルベールがぐったりして言った。



「やられた。何者か分からないが俺が召喚術に気を取られている隙に、脇からちょっかい出されていた」


「相手は誰か分かったの?」


「いいや。身内でないのは確かだ」



 ここでノルベールの言う身内と言うのは、自分の部下の王宮魔術師達の事だ。信頼している部下が裏切ってなかったのは幸いだった。

 でも、そうなると、別の誰かがさくらを攫ったことになる。ノルベールや、フィルマンはそれから必死に「さくら」の行方を捜した。でも、芳しい情報は得られないまま、さくらの捜索だけに日々が費やされて行った。


 フィルマンは本物のさくらの行方を探るべく、偽者サクラを泳がせていたけど、相手はなかなか尻尾を掴ませない。焦燥感だけが、フィルマンとノルベールの肩にのし掛かって来る。

 特にノルベールは、フィルマンの為にと行動した結果、二人に取って悪い結末になってしまったと、嘆くようになってしまっていた。


 そこへお祖母さまから久しぶりに手紙が届いた。その手紙の中に最近、記憶喪失らしい女性を保護した。と、書いてあり、もし良ければノルベールに彼女を見てもらいたいとあった。

 お祖母さまはその女性を「ミュゲ」と、名付けて側に置き、親身にお世話をしているようだ。その女性はある日、森の中で倒れているのを見つけたようで、スズランの花の輪の中に倒れ込んでいたから、そこから「ミュゲ」と、名付けたのだと説明があった。


 私はこのミュゲが気になった。彼女に会ってみたくなった。お祖母さまは表向きには気の良い夫人を演じているが、実は結構、人を見る目は険しい方だ。ニコニコと微笑んで見せていても、よそ者や馴染みのない者には一線を引いて、距離を取ることが多い。


 それなのにこの「ミュゲ」に対しては、文句なしに気に入ったようで、常に側に置いているらしい。それだけお祖母さまのお眼鏡に適った彼女が、どのような人物なのか確かめたくなった。

私も嫁いでからは、お祖母さまのことは気になりつつも、3年前に里帰りしてからは、なかなか帰省出来ないでいた。


 私がいなくなってから、人づてに聞くお祖母さまはやや、気落ちしているとも聞く。お祖母さまは彼女のことを「今時いない、良いお嬢さんだ」と、褒めまくっているので尚更、心配だ。素性の知れない女性にそこまで入れ込むなんて。騙されたりしていないと良いけど……。



 帰宅したノルベールに、お祖母さまから届いた手紙のことを打ち明けると、私の心配を見て取ったのか、


「じゃあ、長期休暇をぶんどってくるから、ヴィオラ夫人のところに会いに行こう」と、転移して王宮に戻って行った。行き先は陛下の執務室。


 帰ってきたばかりなのに無理をさせてごめんね。と、内心、誤っていると、彼はすぐに帰ってきた。



「緊急徴集に応じるなら二ヶ月だろうか、三ヶ月だろうが良いってさ」


「良いの?」


「陛下のお許しが出た。緊急時には転移することでケリがついた」


「まさか脅してないでしょうね?」


「いや。陛下はちょっとお目出度いことがあったらしくてさ、反対もなかった」


「へぇ。ご機嫌だったの?」


「まあな。王妃が知ったら荒れるかも知れないけど。俺達には関係ないことだ」



 何のことかは分からないけど、陛下が機嫌良く長期休暇をくれたと言うのだから、もらっておこうとノルベールは言う。

 さっそく翌日に私達は、サクラメントを目指して屋敷を出た。



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