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「おう、服にあってるじゃあないか」
「ありがとうございます」
ドアを開けるとそこは今まで見た空間とは全く異なる、まさに異世界と言う様な場所だった。
「ここは?」
「現実とは別の仮想空間って所だ、じゃあ始めるぞ」
「え、いや、」
いきなり戦闘準備は出来ているかと聞かれ、反射的に「いや」と答えたキリヤ。しかしその言葉をラインハートは無視して火を纏った拳をキリヤの顔面スレスレで止める。
「え」
「0点だ。」
と言って思いっきり顔面を殴る。一撃が重い、これが歳の人が出せる打撃か?
(痛い、顔が焼ける様に痛い、俺はこんなにも弱いのか)
「大丈夫だ死にはしない、痛感はあるがな」
痛くて何言ってるかキリヤには通じていなかったが、少しずつ焼ける様な痛みは引いていった。
「お前は戦場に出て相手から「待って」と言われたらなんて思う?」
「『チャンス』ですかね」
「そうだ今まさにお前は待てと言った、本番ならその瞬間にお前はもう死んでいた。」
「『でも貴方が急に始めて、まだこっちは準備出来てなかったのに』とでも考えているな?」
完全に考えてる事を見透かされてる。流石はフィルが信頼している人だ。
「はい、でもそうですよね?」
「確かに俺は聞いた、じゃあお前はバレーをしていた時に『待って』と相手に言われたら止めるか、点を落とす事になってもそれが、勝敗を左右する一点であっても」
「いえ、」
「ここん所も似てるな昔のリューに」
ボソッと何か呟き次は聞こえる様な声で
「いいか、今俺がお前に言うのはこれだけ、、勝った方が正義、生き残った奴が英雄!勝ち方何か関係無えって事!覚えておけ」
と言って事務所に戻った。
その後キリヤは初めてのクローシスの隊服を貰い、いろんな事を試していた。
属性も無く魔力の少ないキリヤに出来る事は先日見たアルゴの真似事、もしかしたら自分の力なら、大地を揺るがすことができるのではないかとでも思っていた。
しかし、そんな事が簡単に出来るわけが無かった。
「勝つ為には手段は関係ない、か、でも俺は正々堂々がモットーだから、真正面と向かって、ラインハートさんに勝てる様にならんといけない」
どうするか、でも言ってる事は俺は間違っててラインハートさんが正しいなんて事は分かってるし、でも、実際勝ち方なんて、圧倒的格上に俺の戦術が通用するもんなのか?
正々堂々、勝てばあとはどうでも良い。
あとはどうでも良いのか!
俺は何か一ついい事を思い浮かんだ。
次はその戦術で行こう!