特訓を始める
クラン名が決まりその後は特に何もなく1日が終わり、次の日が始まる。
「キリヤ、アルバード少し来てくれ、」
「何ですか?」
キリヤは歩きながらすぐに聞いてくる。アルバードはスタスタと大人しく歩く。
「まあ少しは待てや、」
「はい」
「先日の事があって俺は見ての通り当分は動けん、俺は2人を入れた責任があると思ってる。から2人には俺の出来ることは出来るだけやろうと思った。」
「はい」
「アルバードはこのままでも大丈夫だと思うが、ここに向かう様に、」
「え?」
───ユーガ区 中央地区 グランドギルド
と書かれ、行き先と地図が書かれていた。
「お前でも少しは勉強になる事あると思う。」
「あ、ありがとうございます!」
アルバードも元気よく感謝する。それを見たフィルは少しだけ笑顔を見せた。
「そしてキリヤはここに行ってくれ、そしてここで当分の間は生活をするんだ」
「え???」
困惑するキリヤを気にもせず、アルバードと同じ様な紙を渡される。
────トラスト区 北部 株式会社ラインハート
「株式会社?何で俺はクランとかギルドじゃ無いんですか?まさか戦力外、」
「んな訳無いだろ、ラインハート知らないのかよ」
「そりゃ知らないよ」
実はこのラインハートと言う名前は数年前にかなり有名となった人物だ。
「キリヤは今日から行ってもらうから、準備しておいてくれ」
「え、あ、わ、分かりました。」
キリヤは焦りながらも生活のための身支度をする。
「2日しかここにはいないけど、部屋が広くなったわ」
「株式会社ラインハートですか、フィル=フリートです。今日、私のクランのキリヤ・スタウフェンがそちらに向かわせていただきます。ラインハートさんには許可は貰っています。はい、すいません、失礼します。」
「それでは行ってきます。」
「あっ!ちょっと待って、」
出ようとしたキリヤにアイが止める。そして何か紙袋に入っている。
「これ、あちらの人に渡してあげて!」
「分かりました!!フィルさん行ってきます。強くなって帰ってきます!!!」
「頑張れよ」
フィルは離れた所でキリヤに手を振る。
(俺もフィルみたいに強くならなくちゃいけない、出来なかったら死ぬだけだ)
と更なる強い決意を固め、株式会社ラインハートに向かう。
歩いてる途中にもクローシスの話をしているのがそこらじゅうから聞こえる。
(やっぱり皆クローシスにあこがれてるんだなあ、俺も元々はこうだったんだから)
同じ都市なのにかなり距離がある。元々は転送のポータルで移動する距離だった。
しかし、今回はポータルを使わずに行けと言われたから、文句一つ言わず歩く。
「つ、着いたあ」
45分位は軽く歩いた。
「ここが株式会社ラインハートか、会社って言うよりは家って感じだな、本当にここか?」
会社とは思えない様な建物に多少困惑するが、やはりここが会社である事が分かり、インターホンを押す。
「はーい、あ!フィルさんの所の人かな?入ってきて」
と言って、その場で鍵を開ける。遠隔で鍵の開閉を出来る所は家とは思えない。
「あ、ありがとうございます。失礼します。」
──────キリヤ修行編