フィルの過去とアルバード
「これが実態だ。」
「…………はい、」
そして次のフィルについての話、フィルが少し話すのに心の準備をさせて欲しいと、席を外し外に出る。
5分後
「………………まだかな?」
10分後
「………………遅いね」
「遅い」
30分後
「………………長いね」
「もう来るから少しは黙っててくれ、」
部屋に二人気まずい雰囲気が流れる。
一方外のフィル、
(話して良いのか、辞めてしまわないだろうか、)
心の中自分に自問自答を繰り返す。
そしてついに
「兄さん。ごめん俺話す事にする。」
話す事を決め、事務所に戻る。
「ごめん、待たせた。」
「あ、いえ全然。」
さらっとキリヤが嘘をつく。少し目が泳いでいる。正直な奴だ。
「今から10年前、俺は大切な人を殺し、当時同じクランメンバーだった、仲間4人を見殺しにした。」
やっぱり人を殺していた。さらに仲間4人を見殺しにしている。
その言葉を本人から聞いて、顔がこわばる。
「俺の兄を除いたクランメンバー全員でポータルに入った。初めは順調に進んだが、二人と連絡が途絶え、当時5歳だった子供がボスモンスターを倒したが、ポータルにはモンスターが残っていた。そこでそのモンスターと生き残っている3人でモンスターと戦っていた。しかし俺は人間を傷つける事が出来ない。何度も攻撃をしようとするが、一歩が出ない、そして俺はその場から逃げた。俺は助かったが、戦ってたメンバー2人た安否不明のメンバー2人を見捨て俺は閉鎖されるポータルを見て絶望した。」
(この人は本当に最低な人間なのか、やっぱり俺はこの人のとこにはいたくないな)
「ポータルを出て俺はそのまま帰りを待っていた。しかしそこに現れたのは、俺の憧れでもあり目標でもあった兄さんだった。そして、その兄さんを俺はムキになって殺してしまった。そして、生きる意味全てを失った俺は事務所の前で座っていた所に、アイが来たんだ。そこで俺は兄さんに死ぬ間際で言われた事を果たす為にここにいる。」
「という事は人は殺した出会ってますね」
アルバードが話をまとめようとする。この雰囲気でこんな事を言えるアルバードもすごい、、、
「そうだ、人殺しで人間害悪とは闘えない、、これが俺だ、こんな奴の所にはいたくないだろ、キリヤもアルバードも………」
「すいません。自分、人を殺す人間とはやっていけないと思うので、やめさせてもらいます。」
「ああ、分かった。荷物は後日家に発送する。」
「短い間出したが、、」
「ちょっと待った〜」
キリヤが事務所を出ようとした時にベストタイミングでアイが帰ってくる。
「ごめん今の話全部聞かせてもらってた。フィル。あんた責任感じ過ぎよ。キリヤ君!あの時は仕方なかったんだよ。分かってくれないかな?」
アイはキリヤに向けて説得をする。
「ポータルはボスモンスターを倒してから10分で自動閉鎖になってて逃げる時にはもう8分過ぎてて、フィル以外の2人は重症でまともに動けない状況だったの。だから2人はフィルだけを逃したの。だよねアルバード君。」
「さ、左様でございます。」
(バレるじゃないですか、やめて下さいよ)
(ごめんね)
(許します)
「そっちは分かりました。でもお兄さんを殺したのどういう事なんですか?」
正義感の強いキリヤは人を殺した事に強くあたる。
「それはね、、言っていい?」
フィルは頭を縦に振る。
「じゃあキリヤ君は人間の姿をした敵が出てきたらどうする?」
「勿論味方では無いのなら、戦いますよ」
至極当然かの様に質問に返答するキリヤに続けて質問をする。
「キリヤ君兄弟とかいる?」
「妹なら1人」
「じゃあその妹が、敵に支配されて、君を殺しにかかったらどうする?」
この質問にキリヤは答えが出ない。
「分かるよ。殺したくないよね。フィルもそうだったんだよ。兄さんがある人に支配されていたんだ本当の支配者にね。とても辛い事だよ。だから!何も分かってないのに勝手な事を言うんじゃないよ!!」
「はい、、、、」
「分かったら何か言う事があるんじゃないの?フィルに」
「フィルさん、、俺、何も分からずにフィルさんの事を悪い人だと思い込んでました。すいません」
「いいよ。殺したのは事実だし、で、辞めるの?」
「続けさせてください!!!」
「そうか、、ありがとう。こんな最低な俺についてきてくれて。」
「アイもアルバードもありがとうな俺の生きる意味を思い出させてくれて、ありがとう。」
「俺も?」
アルバードは何故感謝されたのかは分からなかったが、とにかく、誰も辞めることなく、キリヤの疑問も晴れ、フィルも生きる意味を見つけ、事なきを得た。
「じゃあ次はクラン名決めない?」
アイが一つ提案をする。