7『告発』
「なんかクサくない?」
その日、先輩は朝から首をひねっていた。
「そんなことより電話取ってください!」
――ヴゥゥウウウウ!
あぁっ、またしてもレッドアラート!
「第弐サーバからの通信途絶!」
「PING応答ありません!」
そして、
「かーちょ」
いつものだ。
「今回は、第玖層、第捌L3スイッチと第弐拾壱L2スイッチ間で――」
「課長!」
クーちゃんが叫んだ。
「私、見ました! この女が今朝、第捌L3スイッチルームのそばにあるトイレから出てきたのを! この女が、バグ寄せの香木を仕込んでいる犯人です!!」
オペレーションルームの空気が凍りつく。
数秒経ってから、今度は一転してざわめき始める。
「ローマックくん、君ねぇ」
課長が顔をしかめて、
「この件は私が対処すると言っただろう?」
「でも、見たんです! きっと今も、キャビネットの中に予備を隠し持っているに違いありません」
そう言って、先輩を押し退けて、先輩のデスクの下にあるキャビネットを開くクーちゃん。
「あるはずよ! ――あっ」
クーちゃんが、キャビネットの奥からタオルに包まれた香木を取り出した。
「あった!」
ああ、そんな!
先輩――