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2『 お っ ぱ い 担当社員登場』

「先輩!」


 僕は隣のデスクで頬杖をついている人物に、文句を言う。


「ジュリア先輩! 働いてくださいよ!」


「~♪」


 先輩は電話も取らず、陽気に鼻歌を歌っている。

 ジュリア・モーリー先輩。

 僕にヘルプデスク業務を仕込んだ人物。


 すらりと通った鼻筋、

 大きな二重まぶたの目、

 きゅっと結んだ猫っぽい口元。

 この国では珍しい真っ黒な瞳は眠たげで、

 同じく黒い髪は結い上げられていて大人っぽい。


 全体的に彫りが浅くて平たんなんだけど、何とも言えず愛らしい、エキゾチックな魅力漂う美貌。

 そして、あり得ないほどにでっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっかい胸。

 ワイシャツにかろうじて収まっている胸が、デスクの上にどっかりと鎮座している。

 1年間見続けても、見慣れない。


「先輩!」


「くぁ~」


 先輩は可愛いあくびをかましながら、マウスを、





 カチッ

  カチッ





 と1秒に1回、クリックしている。

 そんなに規則正しくクリックする作業とかある?

 疑問に思って先輩のモニタをのぞき込んでみれば、


「は⁉」


 先輩が眺めているのは何と、毎日何千通と届いてくるエラーログメール!

 難解な文字列がびっしりと敷き詰められているソレを、先輩は規則正しく丁寧に、上から順に開封している!

 こんなの絶対に、内容なんて読めているわけがない!

 つまり、


「先輩、サボってないで仕事してくださいよ!」


「~♪」


 あっ、コイツ耳に無線型オルゴールはめてる!

 僕は先輩の耳から無線型オルゴールを引っこ抜いて、


「先輩!」


「きゃっ⁉」


 ふてぶてしい態度とは裏腹に、意外と可愛らしい様子で驚く先輩。


「なぁんだ、ルーくんじゃん」


 けどそんな様子も、すぐにふてぶてしい感じに戻る。


「なんよ、急に?」


「仕事してください」


「コレがあーしの仕事だよ」


 カチッ

  カチッ


「電話取ってください!」


「異世界語とか分かんないし」


「イセカイゴ? 言葉なら、こうして通じてるじゃないですか」


「あーしが召喚勇者特典でもらった加護は、対面じゃないと発動しなーいの。書類やモニタが対面判定なのは不幸中の幸いだったね」


「ショウカンユウシャ? 昔はちゃんと電話取ってたじゃないですか」


「あれは【翻訳(トランスレーション)】のスクロールを首に巻いてたからだよ。アレ、高いし数時間で効果切れちゃうしで課長が使わせてくんないんだよね。それに」


 先輩があくびをひとつ。


「できればあーしも電話取りたくないし」


「やっぱりサボってるんじゃないですかぁ~!」


 ジリリン!

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