毒5
異世界の街並みは以前テレビで見たヨーロッパのどこかの街の風景に似ており、おのぼりさんのようについついキョロキョロ見てしまう。
教わった通りに道を進んだらすぐに冒険者ギルドを見つけることができた。
剣と盾の大きな看板が目印と言われたので分かりやすい。
冒険者ギルドに入るとこれまた定番のように食事ができるテーブルと椅子がいくつも並んでおり、一番奥にカウンターがあった。
ただ、昼過ぎという時間帯もあってか冒険者はほとんどおらず、新人ということで絡まれるようなイベントはなかった。
カウンターに行くと綺麗な事務員風のお姉さんが対応してくれる。
少しドキドキしたが、目つきが鋭く、やや高圧的に聞いてくる。
「ご用件は?」
「冒険者登録をしたいんですけれど」
「この紙に必要事項を書いてください」
事務的に紙を渡され、言われるがままに必要事項を記入していく。
そういえば、言葉も文字も分かることに疑問を感じなかったが、文字は見たこともないような文字だったが読むことも書くこともできたので気にしないことにした。
書くといっても名前と年齢くらいで出身地は書けないし、特技という欄があったので「剣」とだけ書いた。
書いた紙を渡すと、すぐその場で受付のお姉さんが金属製のカードに俺の名前を専用の器具で刻印し、カードに俺の血を垂らしたら登録完了。
このカードは登録した人以外が持つと黒く変色するようになっているため本人かどうかがすぐに分かるとのこと。
登録料に銀貨1枚と言われて焦ったが、ここでも魔石払いで大丈夫だった。
ついでに魔石の買い取りもしてくれるとのことだったのでお願いした。
魔石は100個以上あったので、とりあえず魔石100個渡し金貨1枚もらった。
銀貨10枚で金貨1枚とのこと。
銀貨の下に銅貨というのがあり、銅貨10枚で銀貨1枚とのこと。
一回の食事がだいたい銅貨1枚らしいので、銅貨1枚で千円、銀貨1枚で1万円、金貨1枚10万円といったところだろうか。
ゴブリン一匹で千円の儲けは高いのか安いのか分からないが、実質俺は5日間で10万円以上稼いだことになるので結構な稼ぎだ。
冒険者って意外と儲かるんだなぁと思いつつも、命がけの仕事でもあるので妥当な金額でもあるのだろうか。
魔石は冒険者ギルドで買い取りしているが、もしも魔物の素材を手に入れた場合は冒険者ギルドの隣の建物の素材屋で買い取ってくれるとのこと。
また、冒険者ランクは点数制で、魔物によって点数は異なるが、最低ランクのゴブリンは一匹倒すと1点もらえるらしい。
魔石を冒険者ギルトに持ってくればその魔石に応じた点数を冒険者カードに専用の器具で記録してくれる。
冒険者ランクは下からアイアンランク・シルバーランク・ゴールドランク・ミスリルランクとなっており、それぞれ初級・中級・上級・最上級という扱いらしい。
ミスリルランクは国に数人しかいないらしい。
最低のアイアンランクからシルバーランクになるためには1000点、シルバーランクからゴールドランクになるためには1万点、ゴールドランクからミスリルランクになるためには10万点が必要らしい。
ミスリルランクになるためにはゴブリン10万匹も倒さなければなれないのかと思うと気が遠くなると思ったら、もっと強い魔物なら点数も高いので必ずしも倒した数ではないとのこと。
ちなみに、この世界の冒険者の仕事は魔物の討伐だけで、薬草採取というのは冒険者の仕事ではない。
でも、魔物討伐のついでに薬草を集めて薬師の店で売れば小遣い稼ぎはできるとのこと。
森を探索中に毒草だけでなく薬草の群生地も見つけたので、毒草だけでなく薬草も無限収納に大量に入っている。
あとで薬師の店に売りに行こう。
受付のお姉さんは愛想はないながらも細かいことをいろいろと教えてくれた。
荒くれ者の冒険者にはこのくらい冷たい対応がいいのかもしれない。