パル君番外編3僕は絵日記はかかないよ その4
「あみちゃんあゆちゃんは元気だよ。ずっとって、まだ4ヶ月……」指折り数えたひろ君が言った。「あっ、もう5ヶ月か。あの二人ね、クラス、また分けられちゃってる。双子って幼稚園でも学校でも一緒にいられないんだね。この公園に来てよかった。久しぶりに虹ちゃんに会えたね。それに、ほら、虹ちゃんが今隠しちゃったけど、パル君にも会えたし」
虹ちゃんがビクッとしたのが僕にも伝わった。
「えっ?」
僕の身体はまた固まってしまった。ひろ君に見つかったことが虹ちゃんにばれちゃった。なんか、悪いことしたみたい。
「もう、パル君も虹ちゃんも、隠さなくたっていいじゃない。僕が見えることは、さくら組の時から知ってるでしょ」
「まだ見えるの? みんなどんどん見えなくなってるよ。見えなくなるだけじゃなくて、見えていたこと、忘れちゃうみたいだよ」
「でも、僕、見えているし、忘れないだろうし、たぶん、たぶんだけど、ずっと見えていると思うよ。僕の家族ってそうなんだって」
「だって、見えるなんて言ったら、変な子とかばっかみたいとか、言われる」
「うん、知ってる。だから、僕、家の中でしかこういう話はしないよ。虹ちゃんもそうでしょ」
「うん、ママもパパも見えないんだって。でも、見えないのが変だとか怒ったり笑ったりはしない。でも、お外では、もう、誰にも言わない」
「僕、こっちでは言わないけど、沖縄だったら、平気」
「そうなんだ? 見える人が多いの? それ、どこ?」
「ジェット機乗って行く遠い所。2年に一度、夏休みの終わり頃にみんなで行くんだ。来週の次に行くんだよ。そこね、うたきとかうがんじょがたくさんあって、ゆたおばさんやのろお爺さんがいて、まぶいってよく言うし」
「外国? わからない言葉ばっかり」
「日本だってば。地図だとはみ出しちゃうくらい下の方」
「ふ〜ん」
「で、みんなでお墓に集まってご飯食べたりするし、見えるって言っても変な顔されないし」
「あっ、それ、おばあちゃんが言ってた。お墓にお弁当持って行くんだって」
「そうそう、そんな感じ。えっ? 虹ちゃんもうちなんちゅ?」
「何それ?」
「あっ、じゃぁ違うんだ。あっ、もうこんな時間?」
ひろ君が公園の時計を見て焦った。
「その時計めっちゃいいかげん。あってたことないって」
「そうだっけ? でも、僕、もう行くね、ってか帰るね。パル君、次に会ったら、怖がらないでね。虹ちゃん、バイバイ」
「バイバイ」
僕は虹ちゃんに抱かれて家に帰った。震えが止まったし、楽ちん。まだ、やっぱり怖いけどね。次にひろ君にあっても、やっぱり怖いと思う。杏ちゃんのお熱、下がったかな。
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