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「ヨガを簡単に説明すると呼吸、瞑想、姿勢を組み合わせて自分の身体の中の活動や精神の安定やリラックスなど自分の中の様々なものに作用させていくものかな。」
「瞑想とはどの様なものですか?」
「目を閉じて呼吸を整えながら無心になったり心に問いかけてみたりする事かな。」
昼食後、お茶を飲みながら光はフローラとマリナにヨガの説明をしていた。
本当は昼食中に説明したかったのだが食べる事を疎かにしているとフローラからマナーの指導をされて断念した。
光はこれからフローラをマナー様と呼ぶか少し悩んでしまったが確実に怒られるので直ぐに頭の中から消しマナーの範囲内で早食いをし今に至る。
「ヨガは足を開いたり上げたり逆さになったりするからスカートは向かないんだけど、二人はズボンなんて持ってないよね…。」
「体術の稽古着がありますので問題ないかと思います。」
「体術の稽古!なんかカッコイイ!!」
「できるメイドはお世話も護衛も何でも出来ちゃうのですよ。」
二人のステータスの高さの秘密がわかり光は決して自分が低すぎるのでは無いのだと密かに安堵した。
「今度稽古してるところを見学したいな!」
「見学なんてとんでもないです。」
「やっぱり危ないから駄目かな…。」
「いえ、むしろご一緒に体術を学びましょう。ヒラノ様のお力の傾向としまして範囲が限られるようですので地方へ赴かれる事もあるかと思います。
体術を学びご自身で身を守るすべは身につけておくべきです。」
自分の踏んでしまった地雷の大きさに光は爆死寸前だった。
ヨガに必要なのは体幹、しなやかな筋肉、強い精神、一見体術と似ているようだが俊敏性とは縁遠く反射神経など退化している。
「えっと…私そういうの向かないんだよね…。」
「御安心下さい。私どもが全力でサポート致します。」
逃げ道など無く、あったのはただ首を縦に振る道だけという事実を光は受け止めた。
フローラは早速本日から始めようとしていたので光はなんとか抵抗し明日から週に三日という妥協点を掴み取り盛大なガッツポーズをしフローラから説教をされた。
「話は逸れてしまいましたが、ヒラノ様よりヨガをご教示いただくのは本日でしょうか。」
「ん~メニューを考えたいから本格的には明日にしようかな。今日はそのままの格好で出来ることをしたいのだけど予定があったりする?」
「いいえ。問題ありません。」
光はフローラとマリナにソファに座るように促した。