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ブリュの挨拶から一週間が経過し王の元へは連日被害報告があがっていた。

被害はイペリット王国のみならず周辺国にも及び、各国の辺境にある村から消滅させられていき首都の近くまで被害がきている国もある。


それら全ての被害はアーサーによるものだった為にイペリット王国は各国から責を問われていた。


「陛下…このままでは我が国に生き残る道はありません。アーサー様に滅ぼされるのが先か、他国に攻められるのか先か……。」


「せめて民だけでも助けたい。」


宰相は王の思いに応えたいが返す言葉は無かった。

そこにバタバタと近づいてくる足音が聞こえ、王と宰相はどんな凶報が届くのかと小さくため息をついた。






「ヒラノ様…ありさ様……お帰りなさいませっ!!」


涙ぐみながら二人を抱きしめたフローラの力はとても強く、光もありさも首が絞まり苦しさからフローラの方をバシバシ叩く。

フローラが慌てて二人を解放すると大きく息をした後に「ただいま。」と笑顔をみせた。


「たくさんお話せねばならない事がございます。しかし、まずはお二人がご無事で…こちらにお戻りいただけて…本当に良かった……。」


「フローラ……じゃあ私をヒラノ様呼びからヒカリに変えよう!」


「そ、それは…。」


「だって店長はありさ様なのに!私の方が長く傍にいるのに~!!」


「で…では……僭越ながらひかり様…と。」


光は頷き改めてフローラを抱きしめる。

フローラはその温かさに先程は我慢していた涙を流し暫く身を委ねた。


「はい、じゃあとりあえず移動しよう。ここはイスも何も無いし、皆が困ってるよ。」


今いる部屋は最初に光が召喚された部屋で床一面に幾何学模様が書かれただけの家具も窓も無い部屋だった。

召喚に関わったであろう十人の魔術師っぽいローブを着た人間と四人の兵士、フローラと光とありさの計十七人では少し狭く感じる。


「フローラ、案内を頼める?」


「かしこまりました。では、先にこちらをお返し致します。」


フローラから渡されたのは光のスマホで、確実に光を召喚する為のキーアイテムとして使用された。

ありさの所持品は以前配ったブレスレットが使用されたが、ありさが返却は必要無いと言った為それは貸した者へと返された。


「やっぱりスマホが手元にあると精神が安定する…。」


「現代社会の闇だね。」

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