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「やっぱり床に座るなんて驚きますよね。」
異世界に来ての初ヨガだったが少し恥ずかしくなり明日からは誰も見ていない時にしようと心に誓い、光は苦笑を浮かべて立ち上がった。
「違う!違うんです~!ヒラノ様続けて!!!」
立ち上がった光にマリナが慌てて続きを促すが光は興が削がれ続ける気にならない。とりあえずベッド横のソファに座るとフローラとマリナが頭を下げた。
「お邪魔になり申し訳ございません。」
「気にしないで下さい。驚いて当然ですから。」
「いいえ、確かに床にお座りになった事には驚きましたがそれ以上に…部屋中にキラキラした物が……。」
「キラキラ?」
フローラいわく、光が座って少しすると光を中心に空中にキラキラしたものが発生し部屋から中を包み、光とフローラの目が合った時には消えていたという。瞑想中で眼を閉じていた光は俄には信じられず、今度は眼を開けたままヨガをする事にした。
再びスカーサナのポーズに入ると今度は瞑想には移らずストレッチをした後に立ち上がった。
両足を揃え呼吸に気を遣いながら身体を動かしていく。今度は眼を開けている為、フローラが言っていたキラキラした物が光にも見えていた。
しかし集中を切らさずに身体を動かし、最後に息を吸いながら両手を天井方向に上げ完成させたのはウォーリアー1、戦士のポーズだった。
ポーズが完成すると光を中心としてキラキラした物は飛び散り消えしまった。
「何……今の…。」
「ん~。何だか少し身体が軽い気がしません?」
「え?ええ…言われてみるとそうね…。」
光は二人の言葉が気になりステータスを見てみる事にした。すると、フローラとマリナの状態欄に新たに【身体強化】が増え、練度と状態以外の項目にプラス二十と書かれている。
光はコレをどう伝えれば良いのか分からず、とりあえず苦笑いするしか無かった。
「まずはアーサー様にご報告しなくてはなりません。」
「デスヨネ~。ちなみにアーサーさんの前で見せない選択肢は……。」
「ありません。どうか、ご理解下さい。」
光はこの力を与えた何者かに文句を言いたい気持ちでいっぱいだった。
フローラがアーサーに報告に行く間、光はマリナと二人きりだったのでヒラノ様呼びを何とか出来ないか相談してみた。
「私はヒカリって呼びたいんですよ~。でも、フローラさんにバレるとお説教されちゃうから難しいですね。あ、命令なら従ってくれるかもしれないですよ?」
「命令は……ちょっと違うんだよね~。」