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「さっ帰りましょ。ここにはもう用がないわ~。」
リンゴブリュレが光の肩の上で帰宅を促すと、領主がガルボにレイミーを押し付け慌てた様子で光とアーサーにちかづき近づき膝まづいた。
「聖女様!アーサー殿下!どうか、どうかむすめを娘をお助け下さい。」
必死に懇願する領主だったが光もアーサーも微動だにしない。
「何この感じ。ブリュレ、なにがあったの?」
「え~。そこの娘が嫉妬花に触っちゃって手足が真っ黒になっちゃったのよ。それを全部ひかりんが悪いって怒鳴り散らした挙句頬を叩いたの。今お願いしてるのがその父親よ~。」
「え?私の可愛い従業員に手を出した?ブリュレ、これを放っておくなんて出来ないでしょ。」
ありさはツカツカとレイミーに近づくと思いっきり右の頬を叩いた。
バチーンと気持ちのよい音が響きレイミーの頬に紅葉ができると、レイミーはその痛みに泣きわめく。
「痛った~い!な、何なのよ!!あんたは関係ないじゃない!!!」
「関係大ありだからっ!私の大切な従業員で同僚で可愛い後輩を理不尽に叩くとかあなた何様?馬鹿なの?死ぬの?馬鹿だよね!
そこの父親の行動も意味がわからないしっ腹が立つな~!
言われのない罪をきせて叩いてくるような人間をなんで助けなきゃいけないのよっ!
元々この世界の人間じゃない私達になんの利益があるのよ。ブリュレだってそんな理不尽しないわ。
しかも、あなた達どうみても謝罪すらしていないでしょ。
あなた達みたいな人間がどうなろうと心なんて痛まないわっ!」
ありさは身体を光とアーサーの方に向けてまたツカツカと歩く。
光とアーサーの近くに来るとアーサーを光から奪い抱きしめて頭を撫でた。
「よく頑張ったね。偉い偉い。あんなの救う必要なんて無いんだよ。罪悪感すら要らない…だって私達は被害者なんだもん。」
「て、てんぢょ~。」
「うんうん。鼻水付けても良いから後で可愛い服ちょうだいね。」
ありさの腕の中でわんわん泣く光をアーサーは拳を握りしめて見ているしか出来なかった。
「ありさは男前ね~。」
「ロンリーライフの達人は伊達じゃないよ。男性陣からは最強のライバルと言われていたしねっ!」
「……確かに。」
アーサーの呟きは誰の耳にも入ること無く溶け、ありさは光をお姫様抱っこすると部屋の外に歩き出した。ブリュレはちゃっかりアーサーの肩に移り「行くわよ~。」と声をかける。
「店長力持ちすぎます~。」
「筋トレはヨガにも重要な事だからね!」




