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光は今、民衆を集めた大広間の舞台上にいた。舞台上と言っても光は天幕の中にいるので民衆には姿は見えていない。

しかし、アーサーが隣に控え風魔法を使っているので声だけは届ける事ができる状態ではあった。


「皆の者、私達は毒に侵され長く苦しんだ。しかし、聖女が私達を癒す術を見つけて下さった。私達は救われる。もう死に怯える必要は無い!」


アーサーの演説に大歓声があがり、聖女コールもおきる。光は天幕の中で元の世界で行った音楽フェスを思い出した。アイドル達の名前を呼びながらライトセーバーを振たり、神を崇めるかのように頭を振り拳をあげる人々に当時の光は若干引いていた。


(皆の熱量半端ないな…)


光は顔が見えないようにされていて良かったと心から思った。


「聖女はここにいる皆に癒しの術を教えて下さる。この術は聖女と二人の伝道師からの教えを受けた者のみに効果があるものだ。解散後、教えを受ける事が出来なかった者は城に来るように伝えよ。動かせない者の元には伝道師が行く。」


アーサーからの説明は終わりいよいよ光の番がくる。

緊張しながらも光はきちんと(カンペ)を見ながら民衆に初めて語りかけた。


「毒に侵された民よ。神はあなた達に試練を与えました。しかし、それを終わらせる時が来たのです。さぁ目を閉じて…私の言葉の通りに。」


先程の歓声が嘘のように静まり広場には光の声のみが響く。まるで寝物語を語るように優しい声で深い呼吸を促す。

深呼吸の後は立ったまま瞑想をさせ、その間に光は太陽礼拝を行う。

今までは光一人では狭い範囲しか浄化出来なかったが、リンゴブリュレが側にいる事で範囲が拡大される事が分かり、今も街全体が浄化された。


「さぁ……目を開けて、今からまたあなた達の新しい日々が始まります。」


民衆は目を開けた後、自分の身体に起こった変化を確認する。また広場に響いた大歓声と聖女コールは暫く止むことは無かった。


天幕の中で一息ついた光に、風魔法を解除したアーサーが「お疲れ様です。」と声をかけ労った。

フローラが冷えた水を差し出すと、光はそれを一気に飲み干そうとしたが、フローラに睨まれ少しずつ喉を潤しす。


城に戻れば後三回程これを繰り返す事になるが、元々インストラクターの光にはそこまで苦にならない。ただこの歓声や聖女コールだけは精神的に落ち着かないのでアーサーに何とかしてもらいたいとは思っていた。

残念ながらアーサーからは笑顔しか返されず、光は役目を終えてからも耳に聖女コールが残り中々眠れない夜を過ごすのだった。

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