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フローラ、マリナ、アーサーにリンゴブリュレが受け入れられ一安心した光だったが当のリンゴブリュレは完全に拗ねていた。


「皆してブリュレを化け物扱いしてひどいわ~!!」


「「「申し訳ございません。」」」


リンゴに平謝りする王子とメイドという謎の光景は三十分程続けられており、光は口を引き攣らせるが悪いのはこちらなので仕方がない。


「そろそろ許してよ~。」


「嫌よ!ブリュレはとても怒ってるのよ~!」


「どうしたら機嫌なおしてくれるの?」


「……ブリュレの可愛いところ十個以上言ってくれたら許してあげなくもないわ~。」


「「「「……。」」」」


その場にいた四人総てが氷のように固まった。怒らせる原因となった見た目を褒めろと言われてすぐに実行出来そうな気がしない。

しかし、やらなくてはいけない。


「ん~ブリュレはお姫様みたいな格好が可愛いよね(似合うかは別の話。)」


「そのお姿しか存じ上げませんが、その真っ赤な色と艶を私は美しいと思います。(リンゴを褒めただけ。)」


「ブリュレ様は大きな瞳をお持ちですので女性としては羨ましく思います。(パーツを褒めた。)」


「…く、唇がとてもセクシーです。(パーツを褒めた。)」


一巡が終わりすでに詰んでしまいそうな中四人は何とか三つずつ捻り出しリンゴブリュレの機嫌をなおす事に成功した。

こんな事が二度と起こらないようにリンゴブリュレはこの四人の前では完全にリンゴとして過ごす事を約束させ、とりあえず事なきを得る。


「それにしてもこんな方法で面会を可能にするなんて思わなかったわ。」


「ブリュレもちゃんとした姿で来たかったんだけど流石に無理でね。ありさも一日三十分程しか出られないから仕方なくこんな感じになったのよ~。」


「店長もそんな短いの?!」


「ブリュレのお手伝いだからね。このリンゴも毎日月の光を浴びなきゃ一日中の活動は無理だから宜しくね~。」


それからリンゴブリュレからたくさんの話を聞いた。

光は聞いていた事も多かったがアーサー達はほぼ知らないので一から話をしてもらい、アーサーは必死にメモをとって真剣な顔をして聞いている。


「…王子様はいい男ね。」


ポツリと呟いたリンゴブリュレに真っ青な顔に王子様スマイルを貼り付けたアーサーを女性三人は哀れみの目でみていた。

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