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翌朝、フローラに起こされた光がバルコニーに出ると定位置のテーブルにリンゴはなかった。


「え?まさか鳥に食べられた??」


ブリュレからもらったリンゴがまさかそんな結末を迎えるとは思ってみなかった光はもう一度ブリュレに会いに行くか悩んだ。


「フローラ、ブリュレに会い行こうと思うの。」


「あらん?用事なら今聞いちゃうよ~?」


「「「え?」」」


三人は辺りを見回すが声の主らしき人物は見当たらない。

光はこの声に聞き覚えがあった。野太く少し不安になる声の主…。


「ブリュレ…?」


「ひかりん呼んだかしら~?」


光の目の前にはまつ毛バッサバサで唇が艶プルの顔をしたリンゴが浮かんでいた。その異様なリンゴにフローラとマリナは目付きを変えた。


「くせ者!マリナ、ヒラノ様をお守りしなさい。」


「わかりましたっ!ヒラノ様こちらにっ!!」


フローラはスカートを捲り上げ足に括りつけてあった折りたたみ式の槍を取り出す。マリナも同じように隠していた鞭を取り出し戦闘態勢に入る。


「魔物の類か。どうやってここに入り込んだんだ。」


「魔物?!失礼しちゃうわ!!ブリュレは可愛い妖精なのよ~?」


「そんな禍々しい妖精がいてたまるか!」


マリナに庇われながら光は困っていた。きっと目の前のリンゴはブリュレに違いないがフローラとマリナに信じて貰える気がしなかったからだ。


「これ…どうすれば良いの…。」


今までに見た事が無いほどの殺気を纏うフローラとマリナは光の話を聞いてくれるのか、光はとりあえず説得してみる事にした。


「あ、あのね。フローラ、マリナ、それ多分…ブリュレだと思うんだ…」


「ヒラノ様?」


「私もフローラとマリナが思っている通り禍々しいなとは思うんだけどね。声が一緒。」


まだ疑惑の目でリンゴを見ている二人だったがリンゴブリュレが「なによ~!ひかりんもひどぁい!!ブリュレ泣いちゃうんだから~!!」と泣き出したところで攻撃の意思は無いと判断され戦闘態勢を解除した。


「マリナ、とりあえずアーサーを呼んできでくれる?」


「……わかりました。」


マリナはとても不服そうな顔をしながらも部屋を出ていった。

フローラはまだ光の前に立ってリンゴブリュレを牽制しているので光はリンゴブリュレには近づかない。


「ブリュレ、そんな姿でいきなり現れたら普通に不審者だよ。信じて貰う為にまずは店長の名前と見た目を言ってみて。」


「え~。仕方がないわね~。」

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